記憶している限りでは初めての村上春樹作品『スプートニクの恋人』
壮大なファンタジーであるとともに、読んだ後にズッシリと重たいものを持たされた気持ちになります。
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[スプートニク]
1957年10月4日、ソヴィエト連邦はカザフ共和国にあるバイコヌール宇宙基地から世界初の人工衛星スプートニク1号を打ち上げた。直径58センチ、重さ83.6kg、地球を96分12秒で一周した。
翌日3日にはライカ犬を乗せたスプートニク2号の打ち上げにも成功。宇宙空間に出た最初の動物となるが、衛星は回収されず、宇宙における生物研究の犠牲となった。
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”あっち側“は無意識の世界であり、夢の中であり、無重力であり、宇宙でもある。
“こっち側”は自分が認識している意識の世界。
“あっち側”と“こっち側”は切り離して考えることはできないし、
“こっち側”が幸せなわけでもない。むしろ“こっち側”なのにひとりぼっちな気持ちにさえなる。
本の中で印象に残った箇所は以下です。
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我々の不完全な人生には、むだなことだっていくぶんは必要なのだ。もし不完全な人生からすべてのむだが消えてしまったら、それは不完全でさえなくなってしまう。
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むだを削ぎ落としたところで対症療法にはなるかもしれませんが、
多分また別のむだが発生するんだろうと思います。
だから完全になくそうとするのではなくむだを許容できる心を育みたい。