『未来を実装する――テクノロジーで社会を変革する4つの原則』を読んで、倫理とガバナンスの重要性を感じた

『未来を実装する――テクノロジーで社会を変革する4つの原則』を読みました。

テクノロジーの社会実装とは、テクノロジーの力によって社会を変えようとする営みであると同時に、社会の仕組みを変えることによってテクノロジーが活用される社会を作り出す営みです。

 

昨今のDXの解釈にも近いですが、テクノロジーそのものの進化を理解する必要はあるものの、それを踏まえててどうやって組織や法制度や慣習などの社会的な仕組みにインストールするのか、を考える必要があるということがわかりました。

 

そしてそのインストールの仕方については非営利組織で用いられている仕組みを活用するという点はユニークだと思いました。

なぜ非営利組織の仕組みを活用するのかというと、

優れたインパクト(理想)を設定することで良い問いを「生み出し」、インパクトを「提示する」ことで人を巻き込むのが、インパクト思考

であり、非営利組織はまさにそうした活動をしてきたからです。

(今でこそ事業会社もSDGsやESGなどを意識した活動やミッションを据えていますが、非営利組織はずっと前から社会にとって必要なことをテーマに掲げ、多数のステイクホルダーに対する説明責任を果たしてきたとのことで、もう少しこのあたりはどこかで勉強したいなと思います)

 

非営利組織では実際どんなインパクトをもたらしたのかが示しづらいものの、

インプット→アクティビティ(活動)→アウトプット(結果)→アウトカム(成果)→インパクト(社会経済的変化)

というプロセスにおいて、アウトプットを踏まえて個人や環境がどう変化したのかという「アウトカム」がポイントで、

アウトカムによってその会社が社会にとってどんなインパクトをもたらすのかが規定されるとのことです。


事業拡大に伴って自分たちが望まなくてもステイクホルダーはより多様になっていき、より多くの人にとって影響を与えうる存在になるからこそ、
この本でも記されているように倫理とガバナンスの重要性を私自身すごく感じます。

 

「自分たちはまだまだだから」、と謙遜して何も決めないことはむしろ悪であり、

センスメイキング能力を高めてなんとでも言えちゃうからこそ、お金が集められちゃうからこそ、
センスメイキングの前にガバナンスを設計する必要があると思いました。
このあたりはシニフィアン 村上さんのnoteもあって、より自身の中での興味として湧いてきました。
https://note.com/201707/n/nc4bb79e1b55f


<MEMO>
・課題とは、現状と理想のギャップ
・良い理想があれば、良い課題や良い問いが生まれる
・良い問いを「見つける」というよりも、優れた理想を設定することで、良い問いを「生み出し」、理想を「提示する」ことで人々を巻き込むのです。そしてこの理想が、今注目される「インパクト」と呼ばれる
インパクトの見つけ方は「人々に愛してもらいたいものは何か」

『コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった 』を読んで、イノベーションの浸透について考えた

 
ひろゆきの『叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」』の中でお勧めされていた、
『コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった 』を読みました!

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前半は海運業の改革を起こしたマルコム・マクリーンの話だったり、沖仲仕(船から荷物を荷揚げ、荷下ろしする人)の日常だったりで離脱しかけましたが、
中盤に入り、
これ、題材が”コンテナ”なだけで、既存の仕組みを変えるイノベーションが世の中に受け入れられるまでの話なんじゃないか
と思いました。
 
具体的には、
 
・コンテナが登場することで
沖仲仕(船から荷物を荷揚げ、荷下ろしする人)の仕事がなくなることから労働組合が反発し、結果として新しい報酬体系と年金がつくられたり、
 
・コンテナのコモディティ化によって
コンテナ値下げ→その後業界再編→そして1社1社が巨大化し、→20世紀に資金調達と情報技術に長けている後発企業の台頭
という流れは今の既存サービスの中からスタートアップが生まれる理由にも重なる部分があり、
21世紀の海運会社のプレイヤー構成をみるとコンテナを作った会社=コンテナをうまく活用できている会社というわけではないということから、
ファーストムーバーは大事だけど、ファーストムーバーだから得というのはあまりないという話で、
これはまさにLayerX福島さんメルカリとフリルを例にリスクとシェアの記事で読んだ話だったので既視感がすごかったです。
 
また、1960年にアメリカー日本航路でコンテナ輸送が開始され、1969年に日本最初のコンテナ船がアメリカに向けて処女航海となったのですが、
時代背景が直近読んでいた江添さんがリクルートを創業した頃とほぼ同時期だったことも相まって、リクルート創業したころアメリカではこんなことが起きていたのか、と思いながら読めました。
 
(たしかにリクルート本でも創業期IBMスーパーコンピューターを輸入していた話しがあり、あのときのPCはコンテナで運ばれてきたのかなと想像しました:ちなみに、このときのIBM担当がリクルート2代目社長位田さん)
------以下メモ------
●コンテとは
・この実用的な物体の価値は、そのモノ自体にあるのではなく、その使われ方にある。
さまざまな経路と手段を介して最小限のコストで貨物を運ぶ高度に自動化されたシステム。その主役が、コンテナである。
・コンテナは輸送コストを引き下げるだけではない。時間の節約と正確性の向上も実現する。
マルコム・マクリーンが優れて先見的だったのは、海運業とは船を運行する産業ではなく貨物を運ぶ産業だと見抜いたことである。
・「コンテナリゼーションはシステムである。コンテナの全面活用を念頭において設計されたロジスティックス・システムで使われてはじめて、コンテナの効果は最大化される」
 
●コンテナと港湾従事者との折り合いの付け方
港に行って選ばれるのを待つ沖中仕は荷役に時間がかかればかかるほど実入りが多くなる「現場ルール」が存在し、コンテナとクレーンが港湾労働者の仕事を奪うと思われていた。
東海岸:コンテナ導入と荷役の機械化を受け入れ、それと引き換えに港湾労働者の所得を保証する。
・西海岸:(損失労働時間に対する補償を求めるという組合側の意見に対し)経営側はコスト削減分を労働側に還元する方式ではなく、コストとは無関係に年間限度額を設定することを提案した。62−65歳の労働者については、早期退職すれば65歳まで月220ドルの年金が支払われる。残りの基金はAメン(優先的に荷揚げ荷下ろしできる人)の所得保証に充てられた。
→東1959年、西1960年に画期的な労使協定「機械化・近代化協定」が成立。
「機械化に対する港湾労働者組合の執拗な抵抗は、一つの原則を確立したように思われる。仕事を奪うようなイノベーションを産業界が導入する場合には、労働者を人間的に扱うという原則。」
 
 
●コンテナを取り巻くビジネス環境の変化
・コンテナのコモディティ化
→値下げ
→業界再編
→巨大化
→20世紀に資金調達と情報技術に長けている後発企業の台頭:コンテナ時代の船会社に求められるのは、海の知識よりも財務や経営の知識
・製造業:
50−60年代:自社で全てを賄う垂直統合
70年代後半:輸送費減少、コンテナリゼーションによって船、鉄道、トラックへとシームレスな輸送によって生産の分散化
80年代:トヨタのジャストインタイム方式
・1960年にアメリカー日本航路でコンテナ輸送が開始され、1969年に日本最初のコンテナ船がアメリカに向けて処女航海となる

『ビジョナリーカンパニー 時代を超える生存の原則』を読んで、自分の基本理念の言語化をしようと思った話

『ビジョナリーカンパニー 時代を超える生存の原則』を読みました。

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同じくらい成功している会社の中でも、
後世に残る会社(ビジョナリー・カンパニー)とそうじゃない会社を比較し、
ビジョナリー・カンパニーの特徴を抽出されていて研究の手法としても勉強になりました。
 
 
ビジョナリー・カンパニーになるためには、基本理念がなくてはならない。また、進歩への意欲を常に維持しなければならない。基本理念を維持し、進歩を促すように、すべての要素に一貫性がとれた組織でなければならない。
この本のポイントはこの1文に込められていると思います。
ここで言う基本理念とは基本的価値と目的からなり、
われわれが何者で、なんのために存在し、何をやっているのかを示すものである
と記されています。
 
基本理念は経済上の目的を超えた、社会における存在意義であり、
どちらか、ではなく、どちらも、大事です。
ですが、それには順番があると思います。
社会における存在意義を示した結果として売上になり、その逆ではないということです。
 
世の中への価値提供の結果として売上をつくり、税を納め、雇用を生み出すチームを作ることの社会的意義は大きく、
私たちはそういうチームを支援すると同時に、
私たちもそういうチームになりたいし、ならないといけないと思います。
 
ビジョナリー・カンパニーにもいい時悪い時は存在し、
それでもなお、時代を超えて名を残している理由は、
周りの変化に左右されない基本理念(基本的価値観と目的)が備わっている仕組みがあるから
だと思います。
 
さらに、ビジョナリー・カンパニーは決して画一化された、万人にとって良いことを掲げている会社のことではなく、
その組織に所属することへの要求が高い会社です。
だからこそ、集団凝集性が高まり、中長期的な成果につながるんだと思いました。
 
誰でも受け入れられる会社ではなく、限られた人しか入れないし、フィットしない。
 
そんな会社に所属したいと思いました。
 
 
最後に重要なのは、たとえ、会社や所属するチームに基本理念がなくても、個人レベルでもいいので基本理念は持てるということです。
 
私は自分の基本理念言語化できていなかったのでしてみようと思います。
 
 
<MEMO>
 
基本理念:基本的価値観+目的
 
●基本的価値観
・組織にとって不可欠で不変の主義
・信念
・これらの価値観のうち、外部の環境が変わっても、たとえ、これらの価値観が利益に結びつかなくなり、逆に、ぞれによって不利益そ被るようになったとしても、百年間にわたって守り続けていくべきものはどれか。逆に、これらの価値観を掲げていては不利になる環境になった場合に、変更でき、捨て去れるものはどれか。
・心から信じていること
・どこまで深く信じていたか、そして、組織がどこまでそれを貫き通したか
 
 
●目的
・企業の根本的な存在理由
・目的の最大の役割は、指針となり、活力を与えること
 

『恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』を読んで、心理的安全性は不確実性の高い組織で成果を出すための一要因だと思った話

『恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』

を読みました!

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 フィアレス(不安も恐れもない)組織とは、知識集約的な世界にあって、対人関係の不安を最小限に抑え、チームや組織のパフォーマンスを最大にできる組織のことである。未来に対する不安を持たない組織のことでは、決してない。
私は心理的安全性の有無関係なく、まあまあ思ったことを言っちゃうんですが、
これは心理的安全性を感じているから正直に言っているわけではないので、
対人関係の不安は常に抱えていたりします。
人知れず傷ついていますし、反対に誰かを傷つけていないか、すごく気にしています。
 
率直に言っても大丈夫な環境をリーダー(not上司/マネージャ)が作り、
その上で率直な意見を言うから意味があるんだと思います。
 
たから、言いたいこと言えばいいってもんじゃなく、心理的安全性をつくるために、発言する時には
思いやりを持った発言なのかどうか、チームをより良くしていくための発言なのかどうか、
を言う前に考える努力が必要なんだと思いました。
 
人そのものへの指摘ではないと思いながらも、言われた方はやっぱり傷つきますよね。
 
上記を踏まえて、心理的安全性はかならずしもみんなにとって居心地のいい組織ではなく、
むしろ高いアウトプットを出すために求められる環境要因なんだと思います。
ただし、
心理的安全性をつくるからこそ、人はより高いアウトプットを出すのが正しいのであって、逆ではない
ということです。
 
さらに、心理的安全性があっても人は失敗するかもしれないし、期待した結果を生み出せないかもしれないですが、
不確実性が高く、難易度が高く、学習や協力を必要とする仕事であれば、
不安や恐怖によって失敗しないようにするのではなく、
心理的安全性によって失敗を恐れないようにして、
軌道修正をしていくしかないのかなと思いました。
 
 
<心理的安全性とはーメモ>
心理的安全性とは、大まかに言えば「みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化」のことだ。
・対人関係のリスクを取っても安全だと信じられる職場環境であること。それが心理的安全性だと、私は考えている。
心理的安全性はグループレベルで存在する
心理的安全性は、率直であるということであり、建設的に反対したり気兼ねなく考えを交換しあったりできるということなのだ。
・「信頼」とは個人が特定の対象者に抱く認知的・感情的態度であり、「心理的安全性」とは集団の大多数が共有すると生まれる職場に対する態度だ。

スタートアップ成長記録16 2020年9−12月 スタートアップで貴重な人材になったのに給料が上がらない問題について

スタートアップ成長記録15を7月に書いて以来、なかなか16が書けずにいました。

mai14.hatenablog.com

 

 理由は忙しかったとか、いろいろありますが、9月の給与査定で給料が上がらずF社で働くモチベーションを見失っていたからです。

おいおい、いきなりネガティブな話かよ、と思われますが、実は他のスタートアップでも同じようなことが起きているのではないか、と思い少し時間を置いて自分自身の頭の中が少しだけ整理できたので筆を取ることとしました。

 

番外編で書いたように、成長するスタートアップで働くことはデメリットもありますが、

●組織が成長することで自分の役割が可変的になる

●組織の歴史が浅いため、伝統を守るのではなく伝統を作る側になれる

●成長するスタートアップは目的集団なので、意識高い人が多い

の3つの観点からメリットがあると思います。

mai14.hatenablog.com

私自身もF社の中で新しい箱をもらい、

F社の営業活動において数々のプロジェクトを回してきて、

自他ともに認めるF社のキーマンになりました。

 

新しい仕事がどんどん舞い込んできて、最初のうちは仕事があること自体有難いことであり、自分のキャパシティを広げるチャンスだと思い、

総業務時間をこれ以上増やすことができないので、今までやってきた業務の効率をどう上げるのか

ということを一生懸命考えました。

苦手だった自分じゃなくてもいい仕事を人に振る、ということも少しづつできるようになりました。

 

でも給与査定の時には給料は抜本的に上がらず、今までの延長線上で数万円のみ上がりました。

いや、今このご時世数万円でも上がるだけでもすごいじゃないか、と思う人もいるかもしれませんし、

そもそも会社の業績が悪いんだから仕方ないじゃないか、と思う人もいるかもしれません。

 

でも私はこれ以上ないくらい努力をして目標達成し、上司も私しかできない仕事しているよね、と言ってくれたのにこれだけか、という落胆が勝り、10−12月は全てのことにやる気がなくなりました。

もちろん上司との面談では「これだけしか上がらないのかと思った」と伝えましたが、それに対する上司の答えは

・会社の業績が悪かった(いや、これに責任を持っているのはあなたであり、人事みたいに業績悪いから仕方ないじゃんって言うなって思ったよ)

・14ヶ月払いじゃなくて12ヶ月払いの会社にいきなよ(いや、何の問題解決にもなってませんけど、総数変わってないじゃんって思ったよ)

でした。

何をどこまでやればいいのか、と言うミッションが不明瞭だったから評価しづらかった部分があるのかも、と思い、それを決めたいと上司と面談をセッティングしたら

「それを決めるのはあなただ」

と言われました。

そして、今自分がやっているチーム運営の業務を外して欲しいと伝えたら

「そこまで忙しくないじゃん」

と言われました。

 

何でこの人はそんな言い方しかできないのか、

そんな人の下ではもうやってられないと思い、

いつ辞めようか、どうやって辞めようかばかり考えていました。

 

さらに悔しいのは、

経営陣は新しいマネタイズを考えるわけでもなく、今の既存サービスのマイクロマネジメントしかしないところにばかり目がいって

新しいサービスを私自身も考えられないところでした。

 

このままここにいたら経営陣と同じように新サービスを生み出せない人になり、

他人に対して不満しかでない人間になってしまうことが怖いと思いました。

 

だからその不安を埋めるべく、必死に本を読むペースを上げることにしました。

 

私は悪戯に給料を上げたいわけじゃなく、自分がやったことの対価として適切な金額をいただきたい、と思います。

 

20代のキャリアはどうしたらいいのか、とか

採用面接はどうしているのか、とか

5年で得た知見を今年はもう少し外に出していこうと思います。

 

 

最後に、

表題の「スタートアップで貴重な人材になったのに給料が上がらない問題について」

その組織で貴重な人材になったのに給料が上がらないのは、

その企業がスタートアップではないから

です。

『江副浩正』と 『起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』を読んで、リクルートの歴史を知る

前回ホットペッパーの話を読んで、改めてリクルートそのものについて知りたいと思ったことから、

江副浩正』と

『起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』を読みました!

 

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mai14.hatenablog.com

 

どちらも江副さんについての本で、そこまで内容に差はないものの、

江副浩正』は江副さんそのものにフォーカスを当てていて、

『起業の天才!』は江副さんの周りにいた人と今にフォーカスを当てているように感じました。

 

少し書き方に違いはあれど、江副さんの作ったリクルートのすごさは3つだと思います。

 

①時代の流れに合わせて事業を創ったこと

少し早すぎたところもありましたが、

リクルート創業時大学に進学する人が徐々に増え、高度経済成長にて民間企業の急成長が合わさって卒業後の就職先の選択肢を提供したり、適性検査を作る

IBMのPCをいち早く導入し理系学生を集める

・「企業への招待」の月刊誌のデザインをオリンピックのポスターを手がけた亀倉さんにお願いし、デザインが経営における重要性を示した

・夢のマイホームが現実的になっていた時に「住宅情報」を出した

などなど

 

②思想を創ったこと

リクルートの経営三原則

┗「社会への貢献」

┗「個人の尊重」

┗「商業的合理性の追求」:仕事の生産性を上げ、仕事のスピードを高め、高収益社会にして税金を納めることがリクルートの誇り

・1968年社訓「自ら機会を創り出し、その機会によって自らを変えよ」

ドラッカーの『現代の経営』、易経の「窮すれば変じ、変ずれば通じ、通ずれば久し」のアレンジ

 

③創業者に依存しない人を創ったこと

江副さんの後、元IBMで創業メンバー位田さん→女性河野さん→若手立て直し柏木さん→峰岸さんへと経営者のバトンが渡されていく背景のエピソードが記されていて、

江副さんイズムは受け継がれているものの、各々の経営スタイルを持たれていたことがわかり、リクルートが経営輩出企業たる所以を垣間見ました。

 

 

また、リクルート事件についても主幹事大和証券がいいって言ったのに何故ここまで問われるのかがわからなかったものの、

江副浩正』文中亀倉さんの

法律上の罪とは別に、道義的なことも罪になる

という言葉で納得しました。

 

江副浩正』には裁判の時の大前研一さんと孫正義さんの上申書が記されていて江副さん擁護な印象を持ち、

『起業の天才!』では江副さんは一つの物事に三つの意味を持たせる人だという記載からやや含みを持たせている印象を持ち、

真意は誰にもわかりませんが、物事の見方は多様だなと思いました。

 

なお、『起業の天才!』は

帯のジェフベソスの上司という話は一瞬しかなかったし、

正直無理やり今のビジネスと結びつけている感があったし、

亀倉さんとのデザイン経営というのは書かれていなかったこともあり、

個人的には『江副浩正』の方が読みやすい本でした。

 

 

『Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方』を読んで、戦略はやらないことを決めることだと改めて知った

Hot Pepperラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方』を読んだのですが、

これは本を読む人の立場や役割によって見方が変わる本だと思います。

この本を読んで、自分が当事者として実行できることがあるのか、

なければ誰かに決められた仕事しかしていないので焦ったほうがいいと思いました。

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リクルートホットペッパーの強さ

「114の生活圏×領域」に分けた「狭域ビジネス」

●仕組み化とマニュアル化

・前にやった人が悩み苦しんで実現した成果を、同じことを苦労せずに成果として実現できる仕組み

・仕組み化は情報を共有するしかけとなる

・同じように簡単に理解し行動できるように汎用化するのが仕組み化だ

・仕組み化はコミュニケーションを活発にして組織のコンセンサスをスムーズに創り出す

・仕組み化は人を育てる

● リーダーとは物語を語る人

・リーダーの役割とは、変革し、パッケージ・パターン化し、汎用化し、構造化し、安定化すること

・「地道にコツコツと日々積み重ねていくこと」を組織文化として根付かせること

(トップ)

・トップ自身がすべてのことを自分で決めてしまっている

・リーダーを育成するとは決めるチカラを付けさせること

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サンロクマルとホットペッパーの違いを考えたとき、

ホットペッパーの強さは新しい区切り方を発明したことであり、

やらないことを決めたことだと思います。

やったほうがいいことは無限にありますが、それを無視してでもやらなければならないことに絞る、絞ったら徹底的にやる、成功するまでやる、ということをされてきたことがわかりました。

 

その時々の課題や状況に合わせて変化することも大事ですが、

私は行き当たりばったり/その日暮らし的な感じがして、それを「戦略」とは呼ばないと思うんです。

 

生きてる以上、課題がなくなることはないですし、何かの課題を解決したら、それは同時にまた新しい課題を生み出しているので、課題のループは消えることはありません。

 

だからこそ、「あるべき姿」である目的を定め、それに対して目標を設定する

という戦略をもとに、課題を設定し、それに対する策を打つということをしていきたいと思いました。