『テンセント 知られざる中国デジタル革命トップランナーの全貌』を読んで、良いプロダクトマネージャーについて考えた

『テンセント 知られざる中国デジタル革命トップランナーの全貌』を読みました。

 



テンセントってLINEのパクリ的な感じで、アリババVSテンセント的なイメージをふわっと持ってた人も多いかと思いますが、
実はそんなことよりも、プロダクトマネージメント能力が高い会社なんだということを改めて知りました。

文中でもCEOのポニー・マーはプロダクトマネージャーとしてのスキルが高いということが記載されていて、
私が読んだ中で特にテンセントが優れていた点は以下3点かなと思います。
・市場選定
「成長が見込めない産業にいては、どんなイノベーションもそれに見合うリターンを得るのは難しい」
創業時たくさんサービスを考えていたものの、ポケベルを前提としたサービスであったことからなかなかブレイクスルーがおきなかったときのこと

・顧客視点
「思考の出発点はどれも技術上の革命的なブレークスルーではなく、顧客一人ひとりの小さな体験なのだ」
ネット上でチャット、メッセージ、ファイルを送れる海外のサービスICQを中国流にアレンジしたOICQ(後のQQ)についてオリジナルにはないポケベル音やアイコン画像などを作ったときのこと

PDCAの速さ
「「真の要望点」に狙いを定め、ユーザー体験場で究極を目指す→膨大なユーザーの中から消費層をつかみ取る→一定数の基本ユーザーが形成されてから段階的に有償サービスをリリースするヤジ最適化を続けてライフサイクルをできるだけ延ばす→また新たな要望点を探す」
QQ堂やQQペットでの成功をもとにテンセント式運営方針をまとめたときのこと

また事業についても、
もともとテンセントはQQでトラフィックを集め、そこでできたオンラインの人脈ネットワークに対してサービスをいっぱい作っていくタコ足戦略だったのですが、
トラフィック依存のサービスからソーシャルプラットフォーム・デジタルコンテンツ・インターネットファイナンスへと変貌を遂げられた背景が記されていました。

さらに組織作りにおいても事業の成長とともに変化し、
2001年研究開発ライン、マーケティングラインのみから、
2003年マーケティングチームからQQショーが生まれたことからプロジェクトを主体とするプロジェクトマネージャー制が生まれ、
2005年にはB0-B4までのプロジェクトベース、O(運営サポート系)、R(研究開発系)、S(管理系)といった事業部制ができた背景が記されており、
自叙伝だと思いきや、サービスや組織に関する学びがありました。


ちなみに、マイクロソフトを中国を追い出した話から、今まで中国には当局の規制が厳しすぎて外資が入りにくいという認識を持っていましたが、
半分あってますが、半分は本社側も本気で攻略する気ないというのもあるのかなと思いました。
あと、360との仁義なき戦いはそこまでやるのか(やりすぎなのではないか)とややモラルを疑ってしまうほどでした。
やられたらやり返す、というのはこういうことを言うんだなと思い、自分にはまだその覚悟はないなあと思いました。

さらに、ちょうど同僚がおすすめだと教えてくれた鬼滅の刃アマゾンプライムで観て(主人公が剣士になるとこまでは観ました)
「敵を倒さずして、自らが生き残る」
なんてことは綺麗事で、
「だから、まずた敵を倒そう」
なんてことはやりきれない自分がいて、
でも、自分には何もないから戦って勝つしかないのかなあ、
なんてことをテンセント360の戦いと、鬼滅の刃から思いました。

そもそも敵を倒さないというのはありえるのか、なんてことが今の自分自身の気になることだったりします。