前回ホットペッパーの話を読んで、改めてリクルートそのものについて知りたいと思ったことから、
『江副浩正』と
『起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』を読みました!
どちらも江副さんについての本で、そこまで内容に差はないものの、
『江副浩正』は江副さんそのものにフォーカスを当てていて、
『起業の天才!』は江副さんの周りにいた人と今にフォーカスを当てているように感じました。
少し書き方に違いはあれど、江副さんの作ったリクルートのすごさは3つだと思います。
①時代の流れに合わせて事業を創ったこと
少し早すぎたところもありましたが、
・リクルート創業時大学に進学する人が徐々に増え、高度経済成長にて民間企業の急成長が合わさって卒業後の就職先の選択肢を提供したり、適性検査を作る
・IBMのPCをいち早く導入し理系学生を集める
・「企業への招待」の月刊誌のデザインをオリンピックのポスターを手がけた亀倉さんにお願いし、デザインが経営における重要性を示した
・夢のマイホームが現実的になっていた時に「住宅情報」を出した
などなど
②思想を創ったこと
・リクルートの経営三原則
┗「社会への貢献」
┗「個人の尊重」
┗「商業的合理性の追求」:仕事の生産性を上げ、仕事のスピードを高め、高収益社会にして税金を納めることがリクルートの誇り
・1968年社訓「自ら機会を創り出し、その機会によって自らを変えよ」
┗ドラッカーの『現代の経営』、易経の「窮すれば変じ、変ずれば通じ、通ずれば久し」のアレンジ
③創業者に依存しない人を創ったこと
江副さんの後、元IBMで創業メンバー位田さん→女性河野さん→若手立て直し柏木さん→峰岸さんへと経営者のバトンが渡されていく背景のエピソードが記されていて、
江副さんイズムは受け継がれているものの、各々の経営スタイルを持たれていたことがわかり、リクルートが経営輩出企業たる所以を垣間見ました。
また、リクルート事件についても主幹事大和証券がいいって言ったのに何故ここまで問われるのかがわからなかったものの、
『江副浩正』文中亀倉さんの
法律上の罪とは別に、道義的なことも罪になる
という言葉で納得しました。
『江副浩正』には裁判の時の大前研一さんと孫正義さんの上申書が記されていて江副さん擁護な印象を持ち、
『起業の天才!』では江副さんは一つの物事に三つの意味を持たせる人だという記載からやや含みを持たせている印象を持ち、
真意は誰にもわかりませんが、物事の見方は多様だなと思いました。
なお、『起業の天才!』は
帯のジェフベソスの上司という話は一瞬しかなかったし、
正直無理やり今のビジネスと結びつけている感があったし、
亀倉さんとのデザイン経営というのは書かれていなかったこともあり、
個人的には『江副浩正』の方が読みやすい本でした。