『ヒトデはクモよりなぜ強い』を読んで、変えてもいいことダメなことについて考えた

『ヒトデはクモよりなぜ強い』を読みました!

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ほとんど見たままのクモに対し、
ヒトデには頭がなく、主な器官は腕の部分に複製され、腕を切り離すと新しい腕が生えることから、
・中央集権的な組織をクモ
・分権的な組織をヒトデ
に擬えて様々な企業の対比が記されていました。
 
 
文の中でも目に留まったのは以下2点です。
①理想は分権型と中央集権型のハイブリット組織だがバランスは変わる
1680年代無敵だったスペイン軍を破ったアパッチ族など、
ヒトデのような分権型組織は昔からあったものの
インターネットの登場によってブレイクスルーが起き、
ただ単に分権型にするのではなく、イーベイのように顧客経験価値を分散させた中央集権型の企業が強い組織、とのことでしたが、
時代の流れや業界構造によって最適な形は変わっていくというのは面白いと思いました。
 
イデオロギーが変わると組織は変わる
分権型にとって重要なのはイデオロギーですが、
そのイデオロギーは他者によっても変えられ、
イデオロギーを変えた組織は同じ人たちの集まりだとしても全く異なる行動を取るというのは興味深いと思います。
具体的には、分権型組織の代表格であるアパッチ族は、
”今までナンタン(精神的および文化的な指導者)自身の行動で人々の規範となっていたが、
アメリカの戦略で畜牛を与えられると、
牛という物質的な資源を分け与えたり、与えなかったりすることでアパッチ族の人を統制し、
アパッチ族の人もより多くの資源を要求するようになった“
ということから、
アメリカはアパッチ族イデオロギー変更に成功した、とのことです。
 
ここから、今この世の中では物質的な豊かさを拒否することはもはや不可能な中で、
自分たちはどんなイデオロギーを持っていて、変えてもいいこと、変えちゃダメなことを明文化しておくことの重要性を感じました。
 
 
<ヒトデのような分権型組織の特徴MEMO>
・「規則も規範もあるが、ただ、決まったひとりの人間にその規則なり規範なりを守らせる責任があるわけではない」
・「(アパッチ)部族のメンバーは、ナンタン(精神的および文化的な指導者)に従いたいから従うのであって、強制されたからではない。」
・「開かれた組織では情報が一カ所に集中せず、組織内のあらゆる場所に散らばっている。
開かれた組織は簡単に変化させることができる。」
・「メンバーが従うのは、規則ではなく規範だ。」
「規範は、サークルに参加することですでに受け入れているものであり、自分たちで作り上げたもの」
・「開かれた組織における「触媒」とは、「サークル」を創設し、そのあとは身を引いて、表舞台から消えてしまう人物だ。」
「古代中国の哲学者、老子の言葉にあるように、指導者はその存在をほとんど知られないのが最上の状態」
・「分権型の組織をまとめる接着剤の役割を果たすのは、「イデオロギー」だ。」
「ナンタンが牛という貴重な資源を手にすると、それまでシンボル的なものだった彼らの権力が、物質的なものへと変化した」
イデオロギーを変えさせることができれば、組織のDNAを変えられる。権力を集中させることができれば、ヒエラルキーが生まれ、組織はより一極集中になり、支配しやすくなる。」