『後世への最大遺物』を読んで、一人一人が一生懸命生きることの重要性を感じる

『後世への最大遺物』は明治27年キリスト教徒第六夏期学校での内村鑑三の講和が記された本で、今読んでも素晴らしい内容ですが、
『デンマルク国の話』もすごくよかったです。
 

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今、ここにあるものに目を向けて、
一人一人が一生懸命生きることそのものが後世に遺せるものとなるんだと思います。
そして、一生懸命生きて、“自分”を持っている個人がいればいるほど、強い国(組織)が作れるんだと思います。
 
 
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『デンマルク国の話』について、
1864年デンマークはドイツとオーストリアとの戦いに敗れ多くの領土を奪われたものの、
50年後には他の国々に負けないくらい富を持った国へと進化し、
その背景には【国民の精神】があったことが記されていました。
「国の興亡は戦争の勝敗によりません、その民の平素の修養によります。善き宗教、善き道徳、善き精神ありて国は戦争に負けても衰えません」
国民の精神はパッと作られるものではなく、長い年月かけて育まれていくものであり、
脈々と受け継がれていくものがあればあるほど強固で、簡単には崩れないからこそ、
戦いには敗れても、精神的には敗れなければ国は存続させることができたんだと思います。
 
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『後世への最大遺物』はこの記事にもネタバレされていますが、
本を読んで知りたいという方は下まで読まないでください。
・後世へ遺すもの①金
清き目的をもって金を溜め、それを清きことのために用いることができなければなんの意味もない
→金を溜めるのが下手な人や、溜めても使えない人もいるので最大遺物ではない
 
・後世へ遺すもの②事業
事業とはすなわち金を使うこと
→事業をなすには特別の天才や社会上の位地が要るので最大遺物ではない
 
・後世へ遺すもの ③思想
実行することができなくても実行する精神を紙の上に遺せる
→誰でも文学者になれないので最大遺物ではない
 
★最大遺物とは
-誰にも遺すことのできる遺物であり、
-その結果は害のないものである
これらを踏まえて、
・後世へ遺すもの ④勇ましい高尚なる生涯

この世の中は悲嘆の世の中でなくして、歓喜の世の中であるという考えをわれわれの生涯に実行して、その生涯を世の中への贈物としてこの世を去るということ

 

自分自身の生涯を自分自身の主義に則って生きていくことそのものが誰でも遺せるものであり、最大の遺物であることがわかりました。