『美学への招待』を読んで、美とは作り出すものではなく結果論であるということがわかった

同僚のデザイナーに紹介してもらった『美学への招待』を読みました!

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藝術の本領が美にあり、その美は感性的に認識される
この一文に全てが集約されていると思います。
 
美は作り出されるものというよりは、恵として与えられる」
と文中にもあるように、作者の精神的意味を込めて作られた主観的な作品が、体験を通して第三者に伝わったときに初めて美は認識されるものなんだと思います。
そして、作品とは人為的なもののみならず、一番の作品は自然であり、私たちはその一部であることを忘れてはならないと感じました。
 
さらに、私たち自身が壮大な自然という作品の一部であり、結果論としての美の創造者であり、享受者でもあるというところに「人間を超える美学」というものが存在するのではないか、と思います。
 
<MEMO>
●美とは
・美学における最先端の主題は美である
・美は体験の中でしか存在しない
・十九世紀のドイツの美学者たちは、藝術作品を体験しているとき、意識のなかで起こっていることを指して、美的な意識と呼んでいました。つまり、藝術体験の実質そのものが美的意識です。
・美の語源:「うつくしい」は「いつくしむ」から派生した語で、もともと可愛らしいものについて用いられた形容
漢字の「美」は(生贄の)羊が大きい、という字の構成になっているところから、立派であること、見事なことを指していると言われます。
・美の重要な特徴:最も原理的なもののよしあしは、感ずるより仕方がない、ということです。この場合の「感ずる」は第一章で説明したような広い意味で、知性による直観をふくむでしょう
・美は設計図の外にあるものです。設計図に書くことができないということは、美が作り出されるというよりは、恵みとして与えられる、ということを意味しています。
 
●感性とは
・美学では、メタファーとしての感覚、すなわち《決して感覚ではなく精神の働きなのだが、感覚的な働き方をする精神》を好んで感性と呼びます。
・藝術の近代的イデオロギーとしてわたくしが考えているのは、その本質が精神の創造性にある、という考え方
油絵は藝術ですが、銭湯にある富士山のタイル画は職人仕事、という具合に区別されます。その区別の標とされてきたのは、作品に込められた精神的意味の深みです。