『限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭』を読んで新しい経済の仕組みが必要な理由を知る

限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭』を読みました!

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この本では封建制度から遡ってなぜ資本主義というシステムが生まれたのかを
コミュニケーション/エネルギー/輸送
のキーワードとともに振り返ることができました。
中でも19世紀前半、
 
蒸気印刷と電信/蒸気の動力/蒸気機関車
によって、経済的資源を集め、輸送し、加工し、製品に変え、顧客に到達させるときの速度と信頼性が劇的に高まった。
ステイクホルダーが増え、それらを統制する官僚制度とお金を集める仕組みとして株式会社並びに株式公開企業ができ、その結果ニューヨーク証券取引所の重要性が増した。
 
という一連の流れから、
資本主義というのは、主義が先行して生まれたのではなく、
コミュニケーション/エネルギー/輸送の3つが揃うことでそうせざるを得ないようになったんだと思いました。
 
新しいテクノロジーによって生産性を高めるほど限界費用はほぼゼロになり、財やサービスは無料になるため、
利益という概念がなくなると同時に、稀少性よりも潤沢さが増すからこそ、
生産と消費を分けることなく、生産消費者は自らの財とサービスを協働型コモンズにおいてシェアするような社会になるのではないか、と記されていました。
 
上記の理由からGDPの伸びが鈍化する理由として、
高いエネルギーコスト、人口動態、労働人口の伸び悩み、消費者と政府の負債、世界の収入のうち富裕層に回る額の増加、出費を嫌う消費者による買い控え
のみならず、
限界費用がゼロになることで、利益が縮小することも要因として挙げられていました。
そして、新しく経済発展の度合いを測る基準として「生活の質」がすでに欧州連合や国連などで導入されており、
今後重要性が高まるだろうと記されていました。
 
2015年出版の本であるもののここに記載されている方向へと着実に不可逆的に進んでいることから、
私たちは想像力を持って、未来をつくりたいと思います。
 
———MEMO———
パラダイム」とは信念と仮定から成るシステムのことで、そうした信念と仮定は一体となって作用し、統合された一つの世界観を確立し、その信憑性と説得力から、ほぼ現実のものと見なされる。
●エネルギー
熱力学の第一の法則と第二の法則は、「宇宙のエネルギーの総量は不変で、エントロピー(モノと熱の拡散の度合いを示す物理量)の総量はたえず増加している」としている。
第一法則(エネルギー保存則)は、エネルギーは生み出すことも消し去ることもできない
第二法則によれば、エネルギーはつねに、「熱」から「冷」へ、集中から分散へ、秩序から無秩序へと移動する。
あらゆる経済活動は、自然界に固体、液体、あるいは気体で存在する有効エネルギーを利用し、財やサービスに変えることで生じる。
→循環型経済の中で地球の資源をより少なく、より効率的・生産的に使い、炭素系燃料から再生可能エネルギーへ移行するというのが、今出現しつつある経済パラダイムの決定的特徴だ。
●生産性
生産性とは、「生産に必要なものに対する生産物の比率(生産物の総量をその生産に必要なモノの総量で割ったもの)として計算される生産効率の指標」だ。
生産力の上がる新技術を導入し、自社の生産コストを下げ、財やサービスの価格を下げて、いくと生産性は頂点に達