『心理学的経営―個をあるがままに生かす』を読んで、組織において無秩序から秩序化そして無秩序化の動きの重要性を知る

『心理学的経営―個をあるがままに生かす』を読みました!

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これはリクルートの創業メンバーとしてSPIの元になるものをつくった大沢武志さんの本で、
PM理論や目標設定理論、ホーソン実験、知覚(感覚/直感)と判断(思考/感情)など、フレームワークも多く記されていました。
その中でも以下2点、印象に残りました。
 
●心理学的経営というものについて

「結局心理学的経営の目指すところは、人間をあるがままにとらえるところから出発して、人間を大事にする経営ということになろう。では人間を大事にするというのはどういうことかと考えると、つまりは、一人ひとりの人間を尊重するということ、すなわち「個性」を尊重するという考えにたどりつく。」

という箇所がすごく印象的でした。
人間というものは、雨の日はなんとなく気分が落ち込んだり、賢い人と話すとテンションが上がったりと、1日の中でもコロコロ気分は変わり、別人とまではいかなくともいろんな人格をもっているものであり、全然合理的に判断しないこともある。
だからこそ、人間を大事にする、すなわち尊重する、ということが心理学的経営だというのはすごく共感しました。
 
●活性化について
「人間という生命体は無秩序な状態から秩序化された状態を自己組織化する過程で、無秩序を放出し、エントロピーを増大させるという矛盾した存在なのである。」
 
「活性化された組織はいわば雑然とした無秩序な世界である。」
 
「活性化は、既成の構造としての秩序を破壊することからはじまる」
 

「現状の自己否定が組織に葛藤と緊張をひき起こし、組織内の均衡状態を崩していく。これがカオスの演出という活性化のための最初の戦略として認識されなければならない。」

 

「ゆらぎが増幅され、一定のクリティカルポイントを超えたときに、破壊や革命が起こる。組織活性化の最終ゴールは破壊のための破壊ではなく、新しい創造のための破壊である。」

とあるように、
無秩序な状態から秩序化していく動きがある種の”組織化”である一方で、
秩序化された組織というものにイノベーションは起きないからこそ、
それをまた壊して無秩序な状態にすることが”活性化”であるということがわかりました。
 
確かに一個人でみても入社した当時は慣れないことばかりで一定の緊張があるものの、やっていくうちに仕事にも環境にも順応し、慣れてくると新しいことをしたいと思うように、
無秩序→秩序→破壊→無秩序→秩序…
を知らず知らずのうちに繰り返しているものだと思います。
だからこそ、
何の意味もなく破壊することや破壊のための破壊というものはそれそのものは否定はしないものの、組織の再構築という意味において無意味
だと思います。
それをやった結果どうなるのか、何のためにそれをするのか、
想像力をもって一つ一つやっていきたいと思います。