「世界で突き抜ける」と「超AI時代の生存戦略: シンギュラリティに備える34のリスト」を読んで考える今後の働き方

佐藤航陽さんと竹中平蔵さんの「世界で突き抜ける」で一番インパクトに残った箇所は以下です。

業績の悪い会社が、申し訳ないけど潰れて、そこの従業員がより良い会社に移って、経済が発展していくというのが新陳代謝のメカニズムです

 

 

日本はこの”潰れていい会社”と”ダメな会社”の基準が他国と異なり、

この本でもJALを残した日本に対し、

シンガポールは”シンガポール航空じゃなくて空港を残した”

というところは資産が少なく建国間もない国だからこそであり、

外資を獲得するために何をするべきか、国単位で考え、行動できている点は見習うべきだと思いました。

 

また、テクノロジーによって最低保障の生活が担保され、

その上でさらに豊かになりたい人と、仕事はせずに過ごす人など

今後生き方の選択の幅が広がるといった話は

堀江さんの「多動力」でも記載されており、

この流れは止められないと思います。

 

そもそも国という枠組みは戦争していた時の土地の奪い合いから生まれただけなので、物理的な国境が意味をなさなくなってくる代わりにクラウド上での国境ができ、

それに伴うベーシックインカムは避けて通れない議論になりそうだと思います。

 

 

この議論で併せて読んで面白かった本と言えば、こちら

落合陽一さんの超AI時代の生存戦略: シンギュラリティに備える34のリスト」

です。

 

インターネットによって「ワーク」と「ライフ」の境目はもはやなくなるというのは周知の事実ですが、
「ストレス」と「報酬」という切り口で自分の人生を捉えるという発想が面白かったです。

 

ここで言う報酬は、金銭的報酬と言うよりは心理的報酬の方が意味合いとしては強く、
ストレスフリーにすることと心理的報酬を得ることは少し違うように感じます。


どちらも達成できれば尚良しですが、

ワークとライフの関係のようにバランスの問題なのかなと思います。

 

ストレスを抱えず報酬を得る方法として「趣味性」があり、趣味性に基づいてよりニッチなコミュニティで自分を定義することで他者との差別化を図る。

 

言わば、「戦わずして勝つ」ことを示しているように感じましたが、

結局のところ趣味って言葉で説明できないものが多く、

非合理的・非効率的な要素だからこそ、

そこが起点となる行動には人間らしさが詰まっているんじゃないかと思います。

「藤原先生、これからの働き方について教えてください」と「センスは知識からはじまる 」からみる、ジュニアからミドルへの変遷方法

今年が終わる前に、今年読んだ本を勝手にレビューしていきます。

社会人4年目、もうそろそろ若手じゃないという人への共感をこめて、、、

 

<「藤原先生、これからの働き方について教えてください」の概要>

・1万時間かけると100人に1人の人材になり、それが複数あればあるほど希少性が高まる(1日10時間労働×20日×12か月=2400時間/年なので、少なくとも100人に1人の人材になるまで4年かかる)

・これから必要となる能力は情報収集能力ではなく、情報編集能力

 

年収アップしたい、自由に働きたい、ワークライフバランスを取りたい、子育てしたい、成長したい、、、

などなど人間の欲求は様々なものがある中で、

それを手に入れるためにはレアカードになるしか方法はないと思います。

 

私たち一般人は類稀な才能があるわけではないので、

1領域だけでタレントになろうとするのではなく、

様々な領域でスキルをつけていくことで結果タレントになる

というタレント化構想の根本的なところを思い出させてくれました。

 

 

その中で、"タレント性"と"センスの良さ"って相関関係がありそうで、

センスの良さに関してちょうど良い本があったので併せて紹介します。

 

くまもんデザイナー水野学さんの「センスは知識からはじまる 」より、

センスの良さとは、

数値化できない事象のよし悪しを判断し、最適化する能力である

と記載がありました。

 

”センスがいい”という状態は

天才的で持って生まれたものという印象が強いと思いますが、実は後天的で、

数値化できない事業の良し悪しを判断できないといけない、

つまり、AとBとの差異によって”センスの良さ”は判断されることを鑑みると、

Bしか知らない人にセンスの良さは語れないと思いました。

さらに言うと、何と何を比べるか、センスが問われるところですが、

一番手っ取り早いのは

感覚的に普通(自分の考え)と普通じゃない(他人の考え)って何が違うのかな

ということを考えるところからだと思います。

 

 

藤原さんと水野さんの本からわかることは、

希少人材になるために、努力しましょう

ということなのかもしれないですね。

つまり、、、”千里の道も一歩から”ということですね。

 

ビジネスにおいても

時流に乗っかるセンスのよさや人を見極めるセンスって重要だと思いますが、

スキルがあってもセンスがない人ってなんでなのかな、、、

と考えた一つの解として

"意思決定から離れている"ことが起因しているのではと思いました。

 

センスを磨くためには自分自身で考えるだけではなく、

自分の考えを壁打ちできる機会をつくり、

それをボランティアではなく、ちきんとお金をもらえる仕事にする。

そんな年にしていきたいですね。

弟子を募る「パラレル親方」からみる、人材育成システムについて

パラレル親方とは
複数の親方と弟子が存在し、同じ経済圏の中で相互に教育を行うこと
 
※パラレルに教育を行うこと自体は明確にスキームが決まっているわけではなく、多種多様な性格の親方の下弟子が学び、狭い業界なので親方同士で案件シェアしながら弟子もシェアしちゃうのありじゃない?というニュアンス
 
 
言うは易し、行うは難しということで、
弟子を募る「パラレル親方」のイベントに参加してみました!
※概要はこちら
3-4年ほど前から”企業間留学”や”レンタル移籍”、”ベンチャー留学”など社員をお互いに行き来させることで人材育成を行うエコシステムが確立しつつあるものの、
引き抜きや情報漏えいのリスクを回避するために異業種での人材交流という色合いが強く、互いの事業にシナジーが生まれているとは言い難い。
 
しかしながら、パラレル親方のミソは親方が”編集者”という共通点を持っていることである。
媒体手段やターゲットは違えど、全員が編集に携わっている親方が弟子を育て、案件を共有し合うことで利益最大化を目的としているパラレル親方だからこそ、本当の意味で業界に必要な人材を育てることができるのだろう。
 
案件を共有し合うなんて、日夜マス取り合戦を繰り広げている企業には懐疑的な話かもしれないが、個性豊かな親方のラインナップを見れば案件を独り占めしようなんて思いがちっぽけに感じるだろう。
 
普段はヘッドハンティングを行い、人のプロを目指す筆者の独断と偏見から、今回の親方のラインナップをマッピングしてみた。

f:id:mai14:20171220102929j:plain 

  • 長谷川親方:華麗なる経歴からみえるように、仕組み化が好きでお金のにおいをかぎ分ける力が強そうな人。弟子は所謂意識高い系の学生という感じで、野村證券とかリクルートで営業1位とる系の人っぽい。
  • 今井親方:ちゃっかりマネタイズポイントをつくったり虎視眈々とポジションを作りに行けそうな人。弟子は空気を読んでない風の独特な雰囲気だがあまのじゃくな人っぽい。
  • 徳谷親方:笑顔の裏にある戦闘能力の高さが見える人。弟子は自分の弱さを見せながら戦う強い人でフットワークは軽いが地に足着いた人っぽい。
  • くいしん親方:飾らず正直者で一番人間らしい人。
  • モリ親方:物腰柔らかい話から自信が溢れ出ていて、確固たる軸を持っていそうな人。弟子も思考の整理が得意で王道にそもそも論を問いただす人っぽい。
  • 望月親方:考えも生き方もエリートクリエイティブで、独自の世界観を持っている人。
 
"出来る人"には効率的に案件を、
"出来ない人"を"出来る人"にみんなですることで業界の底上げを行う。
一見手間だが、なぜやるのか。
それは、「メディアが人生そのもの」だから。
人生に寄り添う仕事を行うからこそ、個人や企業の利益といったミクロな視点ではなく、マクロな視点で考えられる人を育て、シームレスに行き来できる環境を整える必要があるのではないか。
 
マスでもニッチでも、紙でもWebでも、ストックでもフローでも、すべてを受け入れる場所がメディアであり、そのメディアによって自分自身をも形づくるクリエイターの生き様を垣間見えたイベントであった。

「ジェフ・ベゾス: 果てなき野望」を読みました

この本はアマゾン創業者ジェフベゾスと、
1994年創業→1997年上場→1999-2000年ドットコムバブル→2001年崩壊→起死回生→現在
というアマゾンの歴史の中で、サービスやキーマンはどう変わっていったかという詳細が書かれており、サービスをつくるエンジニアにも、採用や組織に関わる人にも、勉強になる本だと思います。


アマゾンは創業当初から一貫して「ライバルがどうだ」という話より、

「自分たちは顧客に一番のサービスを提供できているのか」

に重きを置いていて、

だからこそ、圧倒的な知名度を誇るサービス/会社へと成長したんだと思います。


ただ、、、圧倒的な知名度を誇るサービス/会社に入った人が幸せかどうか、

は別の話だということもこの本で痛感しました。

 

というのも、成長スピードの速いスタートアップであるアマゾンでは効率的かつ合理的にフェーズに併せてポジションリプレイスや引き抜きが行われていて、

創業メンバーですら同じ組織内でポジションを変えたり、ポジションを上げていくことは簡単ではないんだと思いました。

 

結果を出した人しか次のステージには上がれないという社会のルールがあって、

その結果をどう出すか、誰を使うか、どこで出すか

は個々人に委ねられているからこそ、

自分には何ができて/何ができないかを明確に分かっておく必要があると思いました。

「DREAM WORK PLACE」を読みました

この本のテーマはずばり、「本物(Authenticity)」でした。

◎主題

「「本物」は、夢(DREAM)の組織の六つの原則の「すべて」を貫く概念と言っていいだろう」

 

◎「本物の組織」の特性

・企業のアイデンティティが一貫してその歴史に根差している
・社員が、企業が支持する価値観を行動で示している
・企業のリーダー自身が本物である

 

◎Authenticity(本物)の意味

「その起源に議論の余地もないこと」

オクスフォード英和辞典より 

 


本物の組織をつくるには、組織のメンバーの私たち自体が本物である必要があると思います。
何を持って本物か、何を本物とするか、は個々人の解釈に委ねますが、

上記の「議論の余地もないこと」はすごく理にかなっているし、そこを目指して行動していきたいと思いました。

あと、後半部分は”仕事の意義”に関しても面白い概念が書かれていて、

社会哲学者アラン・ド・ボトンの言葉より

「喜びを増すか、苦痛を減らせば意義が生まれる」


とありましたが、

喜びを増すために苦痛を伴うと思うんですが、

苦痛を減らすためにも苦痛は伴うと思いますし、

どうせ苦痛を伴うなら喜びの数が増えるように行動したいなと思いました。

 

「Tokyo Work Design Week」に行ってみて

先日、「Tokyo Work Design Week」という勤労感謝の日に併せてイベントがあり、そこに参加して勉強になったことを共有出来ればと思います。


テーマ:今、話したい「Being」と「Working」の関係

 

https://greenz.jp/2017/07/26/as-do_or_be/
イベントで話されていたことの大前提がこの記事にかかれていていますが、
簡単にまとめると、勉強家兼松さんとしては

「Beingの先にDoingがあり、仕事としてのDoが変わったとしてもBeに一貫性があれば、別にそれはいいじゃん」

ということが書かれていました。


イベントでも、

「学生時代は人との違いでいじめられてきたけど、社会人では人との違いに価値を見出されお金がもらえる」

と話をされていて、Doが被ることってあると思うんですが、Beが被ることって厳密にはないと私は思うんですよね。


だからこそ、

Do→Be

を考えるのではなく、

Be→Do

を当てはめてみる方が楽じゃないけど、楽しいんじゃないかなと思いました。

 

◎Beが大切な理由:

自分の人生に自分が飽きないようにするある種の洗脳で、羅針盤的なものだから

 

◎どうやってBeをつくるか:

○○な人と自分を当てはめてみる、好きなものを羅列、言葉をいっぱい拾う、どういうことだったらテンション上がるか、先を越されたら悔しいこと...などBeは誰かとの関係性によって提起され、"誰か"が変わるとBeも変わるのでいろんな人と話して単語でだしてみる

 

******
加えて、、、普段の仕事の中で私たちがやっていることを人材紹介だと言われて、イラっとして以下文章をつくったときに、ふと思ったことがあり、上記のBeとDoの話に関連することだったのでメモとして残します。

 

◎私たちがやっていること:
『私たちのマネタイズは人材紹介なので「人材紹介会社」というように映ってしまうかと思いますが、あくまで成長産業を支援する方法として人的資産の再配置を支援していて、人の無限の可能性をベースとした事業創造を社内外に創出することをやっている』


◎思ったこと:
上記を意識した行動って短期間でぱっとできるものではない(少なくとも私はできない)ので、こつこつやっていくものだと思います。
私はその一環かつ好きが高じて、”働くとは”みたいな、漠然としたテーマに有識者が議論するイベントや本は好んで読んでいます。

上記すばらしい大義に背かないよう、Be→Doをし続けようと思います。

今年のノーベル経済学賞と、「ミレ二アル起業家の新モノづくり論」について

今年のノーベル経済学賞について恥ずかしながらノールックだったものの、Fintech企業の経営者からお話を聞く中で、人の意思決定に関わる私の仕事に関係するものだったので改めて調べてみました。

今回ノーベル賞で評価された理論は、

「人間は必ずしも合理的に動くわけではない」

ということ。

普通、頭で考えるとむしろ合理的でない方が普通だと思うものの、それを科学的に立証することはかなり難しかっただろうと思います。

なぜなら、「合理的に動く」ことは前提条件を絞ることで指し示せるものの、「合理的に動かない」ことは前提条件が決め辛い、合理的か否かの基準が明確でないからです。

 

その他にもシカゴ大セイラ―教授の代表研究例として以下があるようです。

 

  • 心理的勘定:同じ10万でも自分で稼いだ10万と、ギャンブルで設けた10万だと価値の重さが違う
  • ナッジ:合理的でない人間の特性をもとに、より良い方向に選択を誘導する。ただし、その誘導は報酬、罰など経済的報酬ならびに制限は設けない

 

行動経済学経済心理学は人の意思決定にかかわる私たちの仕事にも関係すると思いますので、個人的にも理論を調べます。

(参考資料)

ノーベル経済学賞、セイラー教授の受賞理由 | 市場観測 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 

今年のノーベル経済学賞「行動経済学」は何が凄いのか | 今週のキーワード 真壁昭夫 | ダイヤモンド・オンライン

 

行動経済学で人の心を操る現代の魔法「ナッジ」とは何か|ノーベル経済学賞セイラー教授の「発明」 | クーリエ・ジャポン

 

 

さて、表題にもある「ミレ二アル起業家の新モノづくり論」は今年上場を果たしたWantedly仲CEOの著書であり、この本の主張として以下をピックアップしました。

この本はキャリアコンサルタントや人事におススメの本かもしれないです。

 

人の性質として:

『サピエンス全史』より人間とサルを分けた決定的なものは抽象概念だった

『なんで』を説明できることによる報酬系から、今のところ人間は逃れることが出来ない

 

モノがあふれるこの時代において:

人間を人間たらしめる『抽象概念』に基づく行動が前面に出てき始めている

 

つまり、人間らしさは抽象概念を説明するところにあり、

この抽象概念を規定するのは言葉であり、

自分の想いを表現するためにはボキャブラリーを増やす必要がある。

でも言葉自体は陳腐化していくからこそ、概念で考えるべきだということが書かれていました。

 

キャリアコンサルタントの仕事でも、"マーケティング"とか"事業企画"とか

職種でやりたいことをイメージする方がいると思いますが、

それは単なるラベルに過ぎず、

その中身を一緒に棚卸していくと本当にその人が幸せになれるキャリア形成のお手伝いができと思います。

加えて、キャリア形成のお話をするときに一つ面白い示唆を与えてくれました。

 

時空が広がっているということと、幸せは必ずしも相関しない

 

もしかしたら今の状態が幸せという人にとって、

私たちの見ている世界を伝えて、

こっちの世界の方が幸せだよと伝えることは押し付けかもしれない、、、と思いました。

 

でも人間は新しい世界に行けばそれをまた都合よく概念化し、

自己正当化する生き物であり、

幸せとの相関がないからといって不幸せとの相関があるとは限らない

(そもそも相関関係は因果関係よりも緩やかな関係性)ので、

選択肢があること自体を伝えることはいいのかなと着地しました。

 

 

ちなみに、、、ミレニアム世代そのものについては尾原さんの記事で良くまとまっているのでこちらをご参照ください。

なぜIT批評家が、ミレニアル世代の渇望を説くのか | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

36歳以上と若者の間には「深い溝」がある--世代の壁を乗り越えるために理解すべき、2つの変化 - ログミー