『UP STARTS』を読んで考える、スタートアップとしての生き方

今回はいろんな起業家がFacebookで「よかった」とシェアしていた『UP STARTS』を読みました。

AirbnBUberの創業から現在までストーリ仕立てで話が展開されており、

投資家集めに苦労したAirB、組織作りに特徴があるUber、競合他社とのせめぎ合いなど、「今」ユニコーン企業と言われている企業のストーリーを知ることができ、

かなり現実的に、自分事として捉えることが出来る内容だったと思います。

 


(前半)
AirBnBUberの創業者ならびに投資家など関係者のインタビューをもとに、

前半は創業~サービスが徐々に立ち上がるところに関してなんですが、

投資家との関係をどのようにつくられていったのか、アイデアからサービスをどのように浸透させていったのかという話が中心に書かれていました。


そこで一番よかったポイントは、
セコイアキャピタルのグレッグ・マクドーが偉大なアントレプレナーに一番必要な資質について語った際に

精神力ーすなわち新しいことに付きものの渉外や問題を乗りきる力

 

であると述べられていた点です。


後からAirBnBUberを真似する企業はいっぱい出てきましたし、

これだけ世の中の流れが速い中、

サービスやビジネスモデルそのもので差別化するのはほぼ不可能だからこそ、

起業家、メンバーがどれだけタフにやり続けるかが重要だなあと思いました。

 


(後半)
UberもAirBも既存産業のディスラプトであり、

既存産業の既得権益に守られている人たちが嫌がることをするので

それに対応しうる盤石なコーポレートサイドメンバーを用意されている点、

スタートアップを支援するうえでも私たち自身においてもかなり見習うポイントだと思いました。


また、上場企業への投資に専念されてきた金融機関が株式非公開企業にチャンスを見出し、投資機会を奪い合い、評価額がどんどん押し上げられてきて、バブル的になりつつあるものの、

ドットコムブームと違う点は

どのインターネット企業も消費者に人気で、広告や会員登録によって実際に収益を上げている点が異なっている

 

と記載があり、かつてgumiの國光さんが、

すべての会社があがるのがバブルであり、優れている会社のみあがるのがバブルじゃない

とおっしゃっていたことを思い出しました。


全部のスタートアップが成功するわけでもお金が集まるわけでもないものの、

お金が集まる会社はやっぱり成功確率が高いんだと思います。

 

また、一番最後は中国の配車アプリディディができた背景や(ちょうどソフトバンクが協業するリリースが出ましたが)、

それに抗戦をして中国戦略を狙ったUberの話が書かれていて、

外資系企業の中国進出のどこが難しいのか、各社どうやって攻めているのか少し垣間見えておもしろかったです。

 

アリババ、テンセント調べてみました

中国ではBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)3強と言われるほどインフラになりつつある会社で、今朝の日経新聞でもアリババ、テンセントの大型出資が記事になっていましたが、、、

ぶっちゃけ何がなんだかわからなかったので整理してみました。

 

【売上規模】

バイドゥ:売上が178億元(約2,926億円)、営業利益が42億元(約687億円)となっています(換算レートは1中国元=16.36円)。スマホ対応に苦しんでいる。(by BIDU Q2 2017 Earnings Release.pdf)

 

■アリババ:売上が501億元(約8,210億円)、修正後EBITDA(原価償却前営業利益)が251億元(約4,110億円)となっています。 売上の前年同期比が+56%、EBITDAの前年同期が+68%と非常に大きな伸びを見せています。(by Alibaba Group Announces June Quarter 2017 Results(2017/8/17))

 

■テンセント:売上が566億元(約9,261億円)、営業利益が226億元(約3,690億円)となっています。売上の前年同期比の伸びが+59%と非常に高いことに加え、営業利益率が40%を超えていて非常に利益率が高い(by TENCENT ANNOUNCES 2017 SECOND QUARTER AND INTERIM RESULTS(2017/8/16))

 

【アリババの事業概要】

BtoBマーケットプレイスのアリババを核とし、昨年11月の独身の日で売上1兆を超えたTmallや決済サービスアリペイなどが主要サービスとなっています。

日本では楽天やメルカリが同じようなモデルですね。

 

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【テンセントの事業概要】

こちらはコミュニケーションチャットWeChatを核とし、ポータルサイト、ゲーム、動画、音楽などのエンタメ事業を展開することでユーザーのアプリ視聴時間を獲得しています。

日本ではLINEが同じようなモデルですね。

 

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両社決済、シェアリングサイクル、フードデリバリー、保険と同じように投資、子会社化していっていますが

ここでカギになってくるのが、決済との連携ですね!

 

アプリ内外でのお買い物情報がわかれば、購買データをもとにより詳細な広告配信ができるだけでなく、ユーザーはアプリ内での買い物情報を担保にローンの審査や投資など付帯サービスを利用することができる。

 

企業や貨幣の価値ではなく、ソーシャルサービスでの活動によって個人の信用が既定されるという流れは今後も加速することは容易に想像される中で、

自分はサービスの提供者になるのか、受給者になるのか、

信用スコアが高い人材になるにはどうすればよいのか、

そう近くない未来を想像すると、今日の活動が少し変わりますよね。

『成功者の告白』から学ぶ、失敗からの脱出方法

「成功者の告白」を読みました。
2006年出版の本ですが、時代錯誤感なく、成功されている起業家が陥る罠について書かれていました。


私は起業家でも成功しているわけでないので、彼らが陥る罠に比べると全然大したことないですが、ピンチの時のマインドチェンジに関して役立つ思考だと思いますので共有します。

 

★最悪のことが起こったとき
最悪だという想い自体が先行して何も動けなくなると思います。
そんな時、最悪レベルがMAX10としたとき、今の状態はレベル何かを考えます。
仮に最悪レベルが10であったとしても、最悪レベルを8にするにはどうしたらいいか、最悪レベルを8から5にするにはどうしたらいいか、、、と考えていくと、冷静にやるべきことが見えてきて、最悪状態から脱することができる
という内容でした。

 

 

★それに近いマインドセットに関する記事で今週面白いものがあったので併せて共有です
けんすうさんブログ:あなたの人生はまだ詰んでいない可能性が高いし、一発逆転とかないですよ、、と。
https://note.mu/kensuu/n/n1f58efb7cceb


・『「ありえない」から「ありえる」へ 』
https://www.facebook.com/profile.php?id=100005230604956&hc_ref=ARQi3jr_4K7wV4v0dUzGxE39HDzkio4pkDBA73_8nAFby4xQbjHW7uN9ChMmX5BLwyU&fref=nf&pnref=story

『お金2.0』を読んで考える、”価値”とは何か?

タップス代表佐藤航陽さんの『お金2.0』を読みました。

 

前半は仮想通貨、ブロックチェーンの一般的なお話が書かれた後、

人間つまり脳の集合体が経済を動かしているということを鑑みると、

うまく回っている経済システムの背景には脳の報酬系が起因している。

つまり、なぜ、今仮想通貨市場が勢いを増しているのか、

その答えは人間の脳の仕組みに関係しているのではないか。


ということが書かれていました。

ここで面白いことは、脳科学と経済学は今まで語られることがなく、

学問上切り離されていたものの、根底は類似・関連しているかもしれないということです。

 

ちょうど大阪大学の石黒さんと為末さんの対談記事でも似たようなことが書かれていて、

ロボットをつくるためにロボット工学、脳科学だけじゃなくて、心理学などいろんな学問の集合値がヒト型ロボットなのではないか、、なんてことを思いました。

logmi.jp

 

 

ここからまた本題に戻りますが、さらに面白いと思った概念として、

知識の民主化から経済の民主化が起こることで、資本主義から価値主義になる

ということです。
価値を体現するはずの資本そのものが正しく価値を評価できなくなってきているから、

資本に基づいた価値ではなく、価値そのものが見直されている状況のように感じます。

 

【価値は大きく3つに分けられる】
①有用性としての価値:スキル・経験など、リターンを前提にした価値
②内面的な価値:共感や好意など、その個人の内面にとってポジティブな効果を及ぼす価値
③社会的な価値:信頼や人脈など、社会全体の持続性を高めるような活動

今まで①有用性としての価値に重きが置かれていたが、②内面的な価値と③社会的な価値こそが、個人を個人たらしめる価値になりつつある。

 

この本の中ではマークザッカーバーグのハーバード卒業式の式辞だけシェアされていましたが、

今年のザッカ―バーグの抱負にも近しいことが書かれていましたね。

中央集権的な考えではなく、社会全体をよくするために、、、という思想が伺え、

佐藤さんもその影響を強く受けていることがわかります。

 

その人でなければいけない、この人だからこそできる、といった独自性がそのまま価値に繋がりやすい

 
個人的に「なぜ成長産業のベンチャーで経験をつまないといけないのか?」ということが最近の考え事なんですが、
内面的な価値や社会的な価値を重んじるスタートアップで得られる価値は、

お金にも変えられることはもちろん、

お金だけじゃなくて他のものにも変えられるという価値の交換性が高く、

個人の希少性を高められる確率が高まるからなのかなと納得しました。

 


ちなみに、本文でも出てくるソーシャルキャピタル

2012年の大学院時代にめちゃくちゃ勉強した社会学の概念(その当時も新しい概念というよりは割と前からある概念)であり、

かなり久しぶりに聞いた単語なだけに佐藤さんがめちゃくちゃ勉強されていることを感じたので、
「価値って何?」という問いを綺麗に整理整理をするには良書だと思います。

 

 

【併せて読みたい仮想通貨ビットコイン系の本】
●『いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン
ビットコインがどんな仕組みでマイニングされているのかをかなりかみ砕いて書かれた本なので、本当に「今更ビットコインブロックチェーンって何?」という人向けのような本だと思います

 

●『アフター・ビットコイン:仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者
└非中央集権的仕組みがブロックチェーンの良いところだと大体の本や記事には載っていますが、もう少し突っ込むとハイブリット的な(半分中央集権化する)ブロックチェーン技術があったりするなど、少し専門的なところが多いので、ブロックチェーン技術が好きな金融機関の人向けのような本だと思います

「生涯投資家」を読んで

あの一世を風靡した投資家村上世彰さんの「生涯投資家」を読みました。

投資に関する知識が全くなかったのですが、かなりクリアかつ論理的に記載がされていて読みやすかったです。

 

内容としては後日談なのでロジカルに整理されている感は否めないですが、

村上さんがコーポレートガバナンスを強化するために、

自分の主張を通すために徹底的に行動されていることがよくわかりました。

 

その中でも上場のメリットとして

・株式が換金しやすくなる

・資金調達がしやすくなる

ことを挙げられ、

保有する資産に比べて株価が適正でない場合や、

上記メリットを享受できない場合は自己株取得をするべきという主張をされており、

上場後にさらにお金を集めて新たな投資や事業をするために上場をするということを鑑みると、

上場後に新たな投資や事業をすることが決まっていないなら、上場するメリットってないなと改めて感じました。

 

よく言われている”日本人は投資ではなく預金する人が多い”という現状に対しても、

余剰金を保有するのでお金が回らず、増えもしないので

結果として株式市場も活性化しないというのは人においても会社においても言えることだと思います。

 

あと個人的には1999-2000年後とのITバブルが生まれた理由や(日本のバブル崩壊、アジア通貨基金によって余ったお金がIT系に流れた)、

その時期に上場した楽天GMO、クレイクフィッシュ、サイバーエージェントの話、

その後のバブル崩壊や日テレ・ライブドアの話まで体系的にまとめられていて、

ITバブルのころ世界ではアマゾンが上場してということがあり、

今このタイミングで読み返すとおもしろいと思いました。

「LEAN IN」を読んで、働く女性に伝えたいキャリア形成について

FacebookCOOシェリル・サンドバーグ「LEAN IN」を読んで、

働く女性への重大なメッセージが書かれていましたので共有します。

 

仕事を決めるときの基準は一つしかない。それは、成長、それも急成長だ

マッキンゼーからグーグル、Facebookと誰もが羨むその時々のBest of Bestの企業を選んできたシェリルの仕事選びの流儀です。

何が正解か、それは誰にも決める権利はないですが、少なくとも世界で有名な女性管理職の一人であり、彼女の生き方から学ぶべき点は多々あると思います。

 

会社がハイペースで成長していれば、いまいる人間がこなせる以上の仕事がどんどん湧いてくる。反対に会社が伸び悩んだり横這いになっていたりしたら、仕事は減り、人間のほうが仕事より多くなる。そうなると社内の空気は淀み、ごますりや駆け引きが横行し、士気は低下する。

 

これは、シェリルがマッキンゼーからグーグルに転職する際にスプレッドシートでそれぞれの企業の優劣を記載したメモを見たときの知人の一言です。

 

女性のキャリアについて、超エリートのシェリルですら

子育てと仕事の両立に苦労しながらも自己成長をとっていたので、

所謂普通の人が子どもを持ちながらも自己成長を望むには

子供を産むまでが勝負なんだと改めて感じました。

 

そうなったときにキャリア選択はより重要になり、

大前提自分自身で努力することはもちろん、

”会社が成長していて、環境が自分を後押しするという状況にある会社はどこか”

という視点を持ってもらうことを私たちも意識していきたいと感じました。

スポーツ好きの人必読の「SHOE DOG」を読んで

ナイキ創業者、フィルナイトの生涯を描いた「SHOE DOG」を読みました。

 

映画にでもなりそうなストーリー仕立てだったので、

スポーツビジネス関係者と話をする時のネタになりそうだなと思いましたが、

個人的にピックアップしたい文章は以下です。

 

ルールを守ったことでなく、ルールを破ったことが人々の記憶に残る

 

文章の中でも幾度となく取り上げられている言葉で、

良くも悪くもルールを破ってきた人が名を馳せてきたことがこの本でも書かれていました。

 

これは単に"歴史上の人物の話"で終わらず、私たちの社会においても学び多い部分だと思います。

というのも、学生時代はルールを守ることが正とされ、

社会人になってルールから外れることが美学であり、

他者との差別化要因として評価されることも往々にしてあり、

皮肉にもルールを守ってきた人は記憶に残り辛いことってあるなと思いました。

 

ただ、だからといって”ルールを破ろう!”というのではなく、

スポーツにはそれぞれ異なるルールがあるように、

ビジネスでも戦う土俵が変わればルールも変わるので、

その時々のルールを理解して、自分の持つ力をどう生かすか意識していかなければいけないなと思いました。

 

スポーツのルールに関して、私が大学院時代に論理的思考へと覚醒させていくれた亡き恩師広瀬一郎先生のスポーツマンシップ論は本当に筋が通っていて面白いので、

スポーツ好きはもちろん、そうでない方も「スポーツマンシップとは?」

という問いに答えられない方はぜひご覧ください!

 

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