スタートアップ成長記録⑦ 2018年7-9月のお話「役職と役割のジレンマ」

私たちの組織ではある一定の売り上げを超えた人間には「シニア」という認定制度が与えられ、

会社運営に携わることのできる権利が与えられます。

 

会社としては、

「シニアは全員がなるべきステップであり、シニアになると会社運営に携わらせてあげる」

という認識の方が強く、シニアになったからといって待遇が変わることはありませんでした。

その代わりに4−6名からなるチームをまとめる責任がついてきました。

あくまでチームなので、チームの売上達成に自分の評価は連動していません。

今までメンバーとして自分のことだけ考えて、+αでチームのことを考えてきた私からすると

チームのことを考える比重が増え、そこに説明責任があり、さらに自身の目標数字も上がり、精神的にきつい時期でした。

 

私とほぼ同時期にシニアになったメンバーは6人いて、

・前職エンジニアの支援をしていたMさん

・前職ものづくり系スタートアップの支援をしていたGさん

・前職人材系にいたFさん

・前職スタートアップにいたMさんとGさん

・私と同じくグループ異動組のDさん

 

このうちの何名かは

「シニア前後で明らかに役割は変わったにもかかわらず、

報酬は同じというのはおかしい」

という疑問を持っていたため、週1回の会議で代表に対して交渉する機会をもらいました。

 

そこで代表から言われた一言は、

「前職給与が安い会社にいたから仕方がない。そのためにインセンティブ制度を設けたのでインセンティブで稼げ」

「逆にいくら報酬をあげればいいのか」

ということでした。

 

確かに前職の年収が低いところを選んだ自分に落ち度はあるが、

現職が設けたボーダーラインは超えてシニアになったのであれば前職年収は関係ないのではないか。

確かに会社が設けたボーダーラインをクリアすればそれなりにインセンティブをいただけ、

同年齢の人よりは少し年収は確保できるものの、

・時期変動が大きい

インセンティブは自社独自の制度なので転職の際考慮しないことが多い

ことからベースの給与を上げたいと思っていた私たちとは相容れない回答でした。

 

評価制度がない会社で働くということは、

これから自分達で作っていくことができる反面、その交渉は成果を出していたとしても厳しく、大変な苦労を伴うことである

ということを思い知りました。

 

評価制度は一朝一夕でつくれるものではないので、これから議論を重ねていこうということになりましたが、

シニアになったら発言権がある、

シニアになったら何か変わる

と思い込んで今まで努力してきた私にとって、

そんな対応しかできない代表・経営陣への苛立ち、

そんな状況を変えられない自身の力不足を思い知りました。

 

と同時に、私たちは私たちのような未上場スタートアップへの転職斡旋を行なっているので、

スタートアップだからポジションがあいて、経営陣に近い意思決定をするチャンスが増え、年収も増える

ということを安易に口にすることは絶対にやめよう、

スタートアップといっても千差万別あり、フェーズとポジションに合わせて考えないと、

個人の自己責任だけでは済まされないと強く思いました。

 

次の3ヶ月では明らかに私たちの会社にとって大きなターニングポイントになるであろう重大な意思決定が行われました。

 

それはまた12月にまとめてお伝えします。