『20億人の未来銀行』を読んで、外注するものと内製するもの

『20億人の未来銀行』を読みました。
 
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モザンビークで決済サービスを立ち上げた合田さんのお話で、海外で0からサービスを作った背景、どんな風に仕事を進められてきたのかエピソードが書かれているので読みやすいものになっていました。
 
その中で2点面白いと思った点を挙げます。
・私たちが生きていく上で必要なモノがエネルギーと食糧で、今までの歴史から資源拡張期と資源制限期を繰り返している中で、今は資源制限期にある。資源が無限に増えるわけではないからこそ、お金でお金を稼ぐような複利モデルは現実に合わない。
→資源が足りないということは各所で言われていますが、拡大期と制限期に分ける方法は新しい分類方法だったのでおもしろいと思いました。漠然とした課題も分類することで本質的な課題とそうじゃない課題に分けることができ、何れ拡張期がくるとしても、合田さんは制限期にある今できることを考えられていたように感じます。

 

 

・最先端かどうかよりも大切なのは現場で使えるか

という項で、今回のモザンビークの決済システムは通信環境、携帯電話の普及を鑑みてNFCを用いられました。

→これを読んで、先日発表された日立とテンセントのスマートシティ構想における連携の記事がリンクしました。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3515922010092018EAF000/

 

日本ではクラウドが当たり前で、ローテクって、、、という印象が持たれがちですが、結局現地で生かされないと意味ないですし、全部を自社で作る必要ってないんじゃないかなと思いました。

スタートアップ成長記録⑥ 2018年4-6月のお話「組織化、言いたいことが言えない」

スタートアップ成長記録、いろんなことが目まぐるしく起こりついついサボってしまいましたが、、、

四半期に1回は更新していきます!

 

前回は2018年1−3月のお話で、一気にメンバーが増えてどうなることやら、、、

というところで終わっていましたが、

mai14.hatenablog.com

実際にどんなことが起こったのか書いていきます。

 

2018年4月F社では大きな動きがありました。

それは、執行役員/GMの選出、4つに組織分類です。

 

まず、執行役員/GMの選出について

今まではオールフラット、売り上げ受注が一定基準を越えると「シニア」「プリンシパル」「パートナー」という認定制度はあったものの、役職はありませんでした。

しかし、2019年−2020年に上場を目指しているF社では、建前上組織をつくる必要があり、2018年4月にその発表がありました。

 

執行役員について、大方の予想通り以下2名が選出されました。

・創業まもない頃からF社を支えてきて、頭の良さ、VCへの理解には定評があるSさん

・F社第二創業期をつくったといっても過言ではないTさん

 

GMについて、

・F社で売り上げ1位を誇るRさん

・入社半年ながらも圧倒的な影響力でチームの中心となったSさん

・創業間もない頃、COO候補なんて代表にも言われていたらしい世渡り上手なNさん

・創業メンバーとして、人事も兼務するSさん

が選出。

これに関して、順当な決定であったことは言うまでもないですが、この1ヶ月後、GMのSさんは退職し、起業の選択をとられることになりました。

 

 

4つに組織分類について

今まで明確には1事業部でやってきたのですが、こちらも上場する上で組織図を作る必要があり、このタイミングで4つに事業が分類されました。

①昔からやってきた人材事業部門

②新しく創設された新規事業部門

③エンジニア部門

④コーポレート部門

 

時価総額を意識して、人材紹介以外のマネタイズをするべく、新規事業部門が立ち上がったのはいいものの、この立ち上げ方がマズかった。と思っています。

・何をするかこれから決めるが、とりあえず組織の建付をつくった

・メンバーは社内から知らないうちにアサインされていた

・取締役、GM2名、メンバー2名で構成されており、忖度があったのかと疑いたくなる感じ

あれだけ透明性だ、フラットだと言っておきながら、

ここに関して決まった事実だけを伝えること、

GMってなんだよ、何に責任を持つ人なんだよ

などなど怒りが込み上げてきましたが、

所詮この会社は代表のものですし、私の怒りなどを聞く必要性はどこにもないですし、重要なことを事前ではなく事後に伝えられる人材にしかなり得ていない自分のレベルの低さを目の当たりにし、

経営陣に透明性を求めることを諦めてしまいました。

 

でも、これは今だから思うことなんですが、

メンバークラスの私がちょっとした疑問を解決せずに諦めたら、

これから入ってくる人もそんな風に諦める人が増えるだけだと。

 

「いちいち聞きやがって」って思われるのも嫌ですし、

「売上あげてから言え」ってごもっともな意見言われたら何も言えないんですが、

自分のためというより、組織のためにクリアにしておかなければならない

と思ったことはクリアにしないといけないと思うんです

 

それが従業員の使命なんじゃないかなと思います。

 

今までマネジメントらしいマネジメントがなく、上司部下の関係がなかったF社なのですが、

今回の人事アサインによって一応上下というのが組織上できたことから

「あの人のマネジメントに納得いかない」とか「あの人についていけない」「腹がたつ」

などの組織あるあるがたくさん出てくるんですが、

納得いなかくて、改善するのは誰のためか、何をすれば解消されるのか

メンバーは考えてから発言するべきだと思います。

 

そして、ついに私も目標売上を達成し、「シニア」認定されました。

やることはあまり変わらず、給与も相変わらず低いですが、

”シニア会議”という人材事業において議題をあげ、解決できる会議に参加できる特典があり、これに参加していくことになります。

 

マネジメントではないけど、マネジメントをしないといけない、さらに売上目標も上がった

という中、どう奮闘していくかはまた次の機会に書くとします。

 

****過去の記事****

スタートアップ成長記録①
スタートアップ成長記録② 2016年の組織ジョインから半年
スタートアップ成長記録③ 2017年前半のお話「F社2.0の時代の幕開け」

スタートアップ成長記録④ 2017年後半のお話「成長痛」 - HRスタートアップで働くメンバーの日記

 

 

 

『脳はなぜ心をつくったのか』を読んで、脳と人間の組織との類似性を発見!

『脳はなぜ心をつくったのか』を読みました。
 
 
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最近興味を持ってる脳と心の関係について、同僚に教えてもらった本で、

この本では脳がどうやって動くのか、神経の動き(ニューラルネットワーク)を”小びと”に例えて書かれていました。

 

以前『睡眠の化学』で心は脳で作られているが、意識は心身のすべてを管理しているというよりも、意識が管理しているのはごく一部であることから、一概に脳が感じたことが正しいというわけではないということが書かれていたのですが、
『脳はなぜ心をつくったのか』にも同様のことが書かれていました。

 

私たちの脳には無数の”小びと”がいて、その小びとたちによって自律分散計算が行われ、無意識が意識になる。

小びとたちは私たちが五感で感じたものを「寒い」とか「うるさい」とか「丸い」とか「1」とかいろいろ判断し、その結果五感で感じたものが何か「私」が意識する。
例えば「雨が降っている」と意識するには、匂いや音、冷たさなどを小びとたちがそれぞれ感じ、「雨が降っている」と結論を出す。
さらに結論は小びとのボス(つまり「私」)が下すのではなく、大きな声をあげた小びとに基づく。
 
 
◎小びとの特徴
・大きな声をあげた小びとに基づいて思考の結論が下される
・周りの小びとの声が大きいと他の小びとは黙る抑制効果や、ずっと一人の小びとは大きな声を出し続けられない疲労効果があるため、大きな声の小びとが増え続けて対立することはない
・小びとにその人の「人間らしさ」が宿り、私がどんな環境に身を置き、どんな体験をし、何を脳の内部に記憶し、どんな思考をするかによって、私の小びとたちは、より私の小びとらしくなっていく
ニューラルネットワーク(小びと)がいろいろなことを学習するときのやり方の基本は「正しいから」「良いから」ではなく、「使ったものほどよく発火する」である
 
 
 
声が大きい人に従ったり、正しさではなくよく使うところが重要視されたりという小びとの動きって、なんだか人間の組織みたいでめちゃくちゃおもしろいと思ったんですよね。
 
でもよく考えると、組織は人間がつくっており、人間の行動は脳に基づくことが多いので、結果として脳の動きは人間の組織のようなるのかななんて思いました。

エンジニア、デザイナーに向けた、良いサービスと良い企業について

最近、エンジニア、デザイナーに関して悔しい(自分の力不足感)と思ったことがあったので今回は思いの丈をつらつらと書きます。

 

先日yentaのイベントでアトラエCTOの岡さんがyentaはマネタイズができていないということをお話されていて、

マネタイズできていないなんてサービスとして存在する意味あるのかって思ったのですが、

自分自身がyentaを使ってみて、直感的に選んで会うか会わないかを本人同士に委ねる(会いたかったら自分でメッセ送る)という、

個々人に検討の余白を与えているyentaのサービス自体は素晴らしいと思ったんですよね。


IT企業において、良いサービスがあるというのは良い企業であるために必要な条件だと思っており、
プレイドやSmartHR、CASH、FOLIOなどロゴ変更の際にブログやHPでその意図をアウトプットしたり、
SansanやDeNAはデザイン戦略室みたいなのをつくったり、
マネフォはデザイン志向をプロダクト制作に組み込んだり、
と、どんな形であれプロダクトとの向き合い方をアウトプットしている会社は比較的良い企業だという認識を持っていました。


ただ、実際そんなものだけで

”その企業はプロダクト志向がある会社で、そんな会社が作っているサービスは良いサービスである”

と結論付けるには時期尚早だというのを改めて認識し、自分の浅はかさととともに、やっぱり書かないと理解できないという限界に落ち込みました。

 

ただ、落ち込んでいても仕方ないので、寄り添う努力はしますが、
ヒューマンキャピタリストとしては、私自身がコードを書いてサービスを作る主体者じゃないからこそ、

客観的にサービスをみて、分類できるようになったほうが自分自身のプロダクトサイドの人へのバリューは高いのかなと思いました。

 

つまり、みんな”良いサービス”をつくるために日夜時間を使っていると思うのですが、

”良いサービス”を作るために企業と候補者が何に重きを置いているのかによって、

オススメする企業は異なるのではないかと考えました。

例えば、サービスを作る上で
・拡張性
・可用性
・UIUX
・グラフィック
・革新性(他のサービスの真似してないとか)
など、全部重要という考えはあると思うのですが、優先順位は企業も候補者も少しづつ異なるんじゃないかなと思いました。

 

さらにサービスの作り方だけではなく、
候補者が誰に価値を提供したいのかによって会社の業種が決まり、
候補者がどんな価値を提供したいのかによって会社のフェーズが決まる。

そんな丁寧なマッチングをしていきたいと思いました。

 

~余談~
今アツイ動画マーケットについて各社の概要まとめるとこんな感じになるのかなと整理したものをこちらでも共有します!


1.Vtuber
(1)バーチャルアイドル(決まった声優が中の人になれる)
Activ8、バルス、mikai

(2)バーチャルヒューマン(一般人が誰でも中の人になれる)
ミラティブ

(3)配信プラットフォーム
グリー、イグニス、クラスター、360Channel、CyberV(多分)


2.eスポーツ
(1)ソシャゲ発大会運営
CyberZ、ミクシィアカツキ

(2)独自でコンテンツ制作
meleap

(3)ゲーマー輩出
Gamewithなど

 

『友だち幻想』からみる、”エモさ”を伝えるためには、”エモい”を使わないということ

少し間が空いてしまいましたが、先日あるメーカーにいた方から

マーケティングに関して興味深いお話を伺いました。

 

広告主が広告代理店にわざわざfeeを払う理由は、広告主と広告代理店には役回りの違い(下記)があるからで、最終ゴールはGreat ideaをつくることであり、そのために各々が役回りを全うする

 

一見当たり前のように見えますが、実はこの観点が抜け落ちている人がたくさんいると思うんです。

しかもこれって、広告代理店と広告出稿する人たちだけではなく、代理業とやりとりをする業種全てに言えることであり、

私達のような人財エージェントにおいてもやるべきことは
”クライアント側が採用したい人物像に関するBRIF(求人票)をつくり、私達はそれに基づいて候補者の方へメッセージングしてお伝えし、それを体現できるような人を紹介する”

ということなんだと思います。

そのためには単なるデモグラやハードスキルだけではなく、

なんのためにその人を採用しないといけないのか、人事は関係部署と連携をとって言語化しないといけないし、

私達のマッチングもハードスキルのマッチングで事足らしたらだめなんだと思いました。

 

この、言語化について、ちょうど今週読んだ『友だち幻想』で、

他者と自分は異なるという前提の下、人とのつながりを丁寧に築くなら「ヤバイ」などのコミュニケーション阻害用語を用いることは良くないみたいなことが書かれていました。
最近だと「エモい」と言う言葉も、そのエモさの本質はその時々/人によって異なり、同じ「エモい」でも受け手と使い手のニュアンスは微妙に異なると思うので、

本当の意味でエモさを伝えたいなら、「エモい」という言葉を使わずにエモさを伝えられないと、伝わらないんだろうなあと思います。

『睡眠の科学』を読んで、脳科学観点から感情を読み解く

睡眠の研究で有名な筑波大学櫻井先生が書かれた『睡眠の科学』を読みました。

 

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ちょうど今週の日経でニューロスペースはじめ官民が予防医療に乗り出す記事がでたり、

仕事でお会いしたFacebookの方が、

人間の心理は脳科学が起因しているので脳科学に興味があるという話をされていたのですが、
私も全く同感で、”科学”である以上、新規性と再現性は問われるべきで、

心理学はその部分がかなりファジーで(ファジーだからこそおもしろいんですが)、

この本から情動(感情)を司る大脳辺縁系が人間のこころに影響していることがわかりました。


従来、心で感じたままに動くとか、感情があたかも心によって作られているように感じていましたが
実は、大脳辺縁系における扁桃体は好き嫌いを判定する部分であり(もともとは生存における意思決定をするための機能)、

この扁桃体が感情を作り出し、心機能に影響することがわかっています。

つまり、心は脳の動きを可視化しているにすぎないと。

 


とはいえ、スポーツをしているときなど、「無意識に身体が動く」という経験をしたことがあるように、

意識は心身のすべてを管理しているというよりも、意識が管理しているのはごく一部で

あることから、一概に脳が感じたことが正しいというわけではなさそう

という点に置いて人間の奥深さとともに、面白さを感じますよね。

 

本題の睡眠においても、覚醒・ノンレム睡眠レム睡眠の違いをモノアミン作動性システムコリン作動性システムの動きによって規定されることがわかりました。


少しネタバレをすると、
レム睡眠は脳は活発で脳から下が麻痺している状態なのですが(だから夢をみても身体が動かない)、その背景にはモノアミン作動性システムが完全停止/コリン作動性システムが活発になっている


ノンレム睡眠は脳の機能は落ちるが身体の感覚系は遮断されていない状態で(だから寝返りうったりする)、モノアミン作動性システム・コリン作動性システムはどちらも低下する


それぞれのシステムはイメージスイッチみたいなもので、それぞれの影響する神経系があり、その神経系が脳機能に影響をもたらすことでスイッチオンオフになるという仕組みのようで、

神経系自体可塑性があるのでたとえ一つの神経系のルートがなくなったとしてもそれを補うように変化が生じるなどなど、一辺通りにいかないところが、心理学にも通じる部分があり、研究し続けるおもしろさを感じました。


このような専門的な話もあれば、
睡眠薬はモノアミン作動性システムに作用するだけではなくその上位にある大脳皮質にも影響するので、現在は覚醒に影響するオレキシンに作用する睡眠薬がある


・睡眠中枢と呼ばれる視索前野でアデノシンという物質が作用して眠たくなるので、カフェインはアデノシンに拮抗することで眠気覚まし効果があると言われている

 

・モノアミン作動性システムの構成要素にヒスタミンがあり風邪薬はこのヒスタミンに作用することで眠くなる
などなど素朴な疑問に対して脳機能の観点から説明されていたのでめちゃくちゃわかりやすかったです。

 

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便宜上学問は分断されていますが、よりリアルの世界で学問を応用していくにあたり

これからますます一つの学問で一つの事象を説明するのではなく、

複数学問によって複数事象を同時多発的に説明していく必要があるのではと思います。

NewsPicksの広告「さよならおっさん」の批判より感じたこと

今週本を読み切れていないので、NewsPicksの広告「さよならおっさん」について書きます。

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先日の日本代表戦のように批判も肯定もあったかなという印象ですが、
個人的には元スマニューの望月さんが書かれていた考察が批判寄りではあるものの、
メディアとしての価値を捉えていると思ったので共有します。

 

”言うまでもないことですが、プロパガンダの最大の問題はそれが「考えさせる」ことではなく「考えさせない」ことを目的とした情報発信であることです。その重要性は何度強調しても足りません。”

https://note.mu/hirokim/n/n957dc66c0008

 

100%正しくないことは証明できても
100%正しいということを証明できないように、
100%正しいという情報はあり得ないと思います。


今回のNewsPicksはこういったことを考えるきっかけにしか過ぎないですが、
人は生まれながらにして考える生き物だと思うので、
従来考える生き物が考えなくなる理由は外部からの刺激、つまり1つの価値観や考えを強いるからだと思います。


好き/嫌いで判断されることはあっても、正しい/正しくないで判断されるべきものではないと思います。


私は自分の考えを発信できない組織は憤り、恐怖、悲しみを感じますし、「考えさせない」人をこれ以上増やすことはしたくないと強く思いました。


私はこの「考えさせない」ことをしない組織で、考えるために鮮度と精度が高い情報を得られることが自分のEVPであり、

それを虐げられたときが組織を去るときだと思っています。