『イノベーション・スキルセット 世界が求めるBTC型人材とその手引き』を読みました。
インターネット業界やtoCサービスに携わる人にとってBTC(ビジネス、テクノロジー、クリエイティビティ)のスキルセットを得ることの重要性が具体的な個人の方の例をもとに丁寧に記されていました。
そしてBTC型人材になるために
個人ベースでは”n=1リサーチ”や”ふせんトレーニング”などによって、
ちょっとずつ領域を広げていくというところはどんな立場の人でも意識次第でできるものだと思います。
ただ、BTC型人材になるためにマーケティングや商品企画の職種を選んだり、スタートアップを選ぶというよりは、
マーケティングや商品企画やスタートアップは結果としてBTC型人材になっている(なりやすい)というだけだと思いますので、
世の中がこれから大きく変わっていくのは明白で、その変化に自分はどうついていきたいかをまずは決めるのがいいんじゃないかと思います。
この本でクラシカルデザインを有している組織の参考書として紹介されている以下2冊も合わせて読みました。
①マツダ前田さんの『デザインが日本を変える』
前田さんのものづくりへのこだわり、前田さんが考えるデザイン、ブランドが垣間見えた本でした。
「私にとってのいいデザインーそれはデザイナー本人が「これしかない」というところまで突き詰めて出してきたものである」
という言葉から、どちらかというと自分が作るものは作品であり、アートであるという認識を持たれているように感じました。
また、
「私にとってブランドとは、「われわれはこのように生きていく、こうした志でビジネスをやっていく」という宣言のようなもの」
というお言葉から、
まさに前田さんが作られているものは商業化、大衆化を超えて、
自分自身を投影させたものだという意気込みを感じました。
自分自身に置き換えても、
“会社名”というブランドについて、
解釈は人それぞれであり完全一致することは難しいかもしれませんが、
“会社名”は私たち一人一人の生き様を示すものなんだと思います。
最後に、前田さんとの対談でサポーズデザインオフィスの谷尻さんが
「"作品"に寄りすぎると単なるエゴになってしまいますし、かといってマジョリティにすり寄ったからといって売れるものが作れるとは限らない」
と記されていて、
アートとデザインにおいても、どちらかが正しいというものではなく、
アートとデザインを行き来しながら、
自分の型というものをみんなつくっていくんだろうなと思いました。
上記のことからも、正しい正しくないというのはなくて、あるのは好きか嫌いかだけで、
嫌いだから排除するというわけではなく、好き嫌いを認識することに意味があるんだと思います。
②『ジョナサン・アイブ 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー』
2000年までは”ホット”じゃなかったアップルも、
2001年にiPod、2007年にiPhoneを発表し、
世界的に有名な会社へと成長を遂げた立役者のデザイナー、ジョナサン・アイブについて記されています。
ジョニー(ジョナサンの愛称)のデザインには一貫して“人間”、しかも自分ではなく、
”ユーザー”を意識されていることが伺えました。
”ユーザーを意識したデザイン“
と一言で記すと当たり前のように思いますが、
どんな時もデザインと向き合って、意思を持って取り組まれていた(続けた)からこそ、
ジョブズと対になる存在だったのではと想像しました。
また、ゼブラや東芝、ソニー、日本人デザイナーなどが出てきて、なんだか襟を正さないと、と思いました。
その他気になった箇所です。
・触りたくなる(ゼブラのペン製品ラインのデザイン時)
・人々の生活に合ったデザインじゃなくちゃならない。僕らはユーザーインターフェースにすごくこだわっている(デザイナー4名で立ち上げたタンジェリン時)
・マシンとユーザーの絆を築く(初代iMac製作時、ハンドルをつけた時)
・白はまた、機械がユーザーを支配しないというメッセージでもあった(初代iPod発表前に白というカラーについて)
・ユーザーを招き入れて、デバイスに触り、持ち上げ、抱きしめ、身体で感じてほしいと願っていた(初代iPad発表前のボディについて)
・ユーザーがデザインを意識しないこと