『ビジョナリーカンパニー 時代を超える生存の原則』を読んで、自分の基本理念の言語化をしようと思った話

『ビジョナリーカンパニー 時代を超える生存の原則』を読みました。

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同じくらい成功している会社の中でも、
後世に残る会社(ビジョナリー・カンパニー)とそうじゃない会社を比較し、
ビジョナリー・カンパニーの特徴を抽出されていて研究の手法としても勉強になりました。
 
 
ビジョナリー・カンパニーになるためには、基本理念がなくてはならない。また、進歩への意欲を常に維持しなければならない。基本理念を維持し、進歩を促すように、すべての要素に一貫性がとれた組織でなければならない。
この本のポイントはこの1文に込められていると思います。
ここで言う基本理念とは基本的価値と目的からなり、
われわれが何者で、なんのために存在し、何をやっているのかを示すものである
と記されています。
 
基本理念は経済上の目的を超えた、社会における存在意義であり、
どちらか、ではなく、どちらも、大事です。
ですが、それには順番があると思います。
社会における存在意義を示した結果として売上になり、その逆ではないということです。
 
世の中への価値提供の結果として売上をつくり、税を納め、雇用を生み出すチームを作ることの社会的意義は大きく、
私たちはそういうチームを支援すると同時に、
私たちもそういうチームになりたいし、ならないといけないと思います。
 
ビジョナリー・カンパニーにもいい時悪い時は存在し、
それでもなお、時代を超えて名を残している理由は、
周りの変化に左右されない基本理念(基本的価値観と目的)が備わっている仕組みがあるから
だと思います。
 
さらに、ビジョナリー・カンパニーは決して画一化された、万人にとって良いことを掲げている会社のことではなく、
その組織に所属することへの要求が高い会社です。
だからこそ、集団凝集性が高まり、中長期的な成果につながるんだと思いました。
 
誰でも受け入れられる会社ではなく、限られた人しか入れないし、フィットしない。
 
そんな会社に所属したいと思いました。
 
 
最後に重要なのは、たとえ、会社や所属するチームに基本理念がなくても、個人レベルでもいいので基本理念は持てるということです。
 
私は自分の基本理念言語化できていなかったのでしてみようと思います。
 
 
<MEMO>
 
基本理念:基本的価値観+目的
 
●基本的価値観
・組織にとって不可欠で不変の主義
・信念
・これらの価値観のうち、外部の環境が変わっても、たとえ、これらの価値観が利益に結びつかなくなり、逆に、ぞれによって不利益そ被るようになったとしても、百年間にわたって守り続けていくべきものはどれか。逆に、これらの価値観を掲げていては不利になる環境になった場合に、変更でき、捨て去れるものはどれか。
・心から信じていること
・どこまで深く信じていたか、そして、組織がどこまでそれを貫き通したか
 
 
●目的
・企業の根本的な存在理由
・目的の最大の役割は、指針となり、活力を与えること
 

『恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』を読んで、心理的安全性は不確実性の高い組織で成果を出すための一要因だと思った話

『恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』

を読みました!

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 フィアレス(不安も恐れもない)組織とは、知識集約的な世界にあって、対人関係の不安を最小限に抑え、チームや組織のパフォーマンスを最大にできる組織のことである。未来に対する不安を持たない組織のことでは、決してない。
私は心理的安全性の有無関係なく、まあまあ思ったことを言っちゃうんですが、
これは心理的安全性を感じているから正直に言っているわけではないので、
対人関係の不安は常に抱えていたりします。
人知れず傷ついていますし、反対に誰かを傷つけていないか、すごく気にしています。
 
率直に言っても大丈夫な環境をリーダー(not上司/マネージャ)が作り、
その上で率直な意見を言うから意味があるんだと思います。
 
たから、言いたいこと言えばいいってもんじゃなく、心理的安全性をつくるために、発言する時には
思いやりを持った発言なのかどうか、チームをより良くしていくための発言なのかどうか、
を言う前に考える努力が必要なんだと思いました。
 
人そのものへの指摘ではないと思いながらも、言われた方はやっぱり傷つきますよね。
 
上記を踏まえて、心理的安全性はかならずしもみんなにとって居心地のいい組織ではなく、
むしろ高いアウトプットを出すために求められる環境要因なんだと思います。
ただし、
心理的安全性をつくるからこそ、人はより高いアウトプットを出すのが正しいのであって、逆ではない
ということです。
 
さらに、心理的安全性があっても人は失敗するかもしれないし、期待した結果を生み出せないかもしれないですが、
不確実性が高く、難易度が高く、学習や協力を必要とする仕事であれば、
不安や恐怖によって失敗しないようにするのではなく、
心理的安全性によって失敗を恐れないようにして、
軌道修正をしていくしかないのかなと思いました。
 
 
<心理的安全性とはーメモ>
心理的安全性とは、大まかに言えば「みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化」のことだ。
・対人関係のリスクを取っても安全だと信じられる職場環境であること。それが心理的安全性だと、私は考えている。
心理的安全性はグループレベルで存在する
心理的安全性は、率直であるということであり、建設的に反対したり気兼ねなく考えを交換しあったりできるということなのだ。
・「信頼」とは個人が特定の対象者に抱く認知的・感情的態度であり、「心理的安全性」とは集団の大多数が共有すると生まれる職場に対する態度だ。

スタートアップ成長記録16 2020年9−12月 スタートアップで貴重な人材になったのに給料が上がらない問題について

スタートアップ成長記録15を7月に書いて以来、なかなか16が書けずにいました。

mai14.hatenablog.com

 

 理由は忙しかったとか、いろいろありますが、9月の給与査定で給料が上がらずF社で働くモチベーションを見失っていたからです。

おいおい、いきなりネガティブな話かよ、と思われますが、実は他のスタートアップでも同じようなことが起きているのではないか、と思い少し時間を置いて自分自身の頭の中が少しだけ整理できたので筆を取ることとしました。

 

番外編で書いたように、成長するスタートアップで働くことはデメリットもありますが、

●組織が成長することで自分の役割が可変的になる

●組織の歴史が浅いため、伝統を守るのではなく伝統を作る側になれる

●成長するスタートアップは目的集団なので、意識高い人が多い

の3つの観点からメリットがあると思います。

mai14.hatenablog.com

私自身もF社の中で新しい箱をもらい、

F社の営業活動において数々のプロジェクトを回してきて、

自他ともに認めるF社のキーマンになりました。

 

新しい仕事がどんどん舞い込んできて、最初のうちは仕事があること自体有難いことであり、自分のキャパシティを広げるチャンスだと思い、

総業務時間をこれ以上増やすことができないので、今までやってきた業務の効率をどう上げるのか

ということを一生懸命考えました。

苦手だった自分じゃなくてもいい仕事を人に振る、ということも少しづつできるようになりました。

 

でも給与査定の時には給料は抜本的に上がらず、今までの延長線上で数万円のみ上がりました。

いや、今このご時世数万円でも上がるだけでもすごいじゃないか、と思う人もいるかもしれませんし、

そもそも会社の業績が悪いんだから仕方ないじゃないか、と思う人もいるかもしれません。

 

でも私はこれ以上ないくらい努力をして目標達成し、上司も私しかできない仕事しているよね、と言ってくれたのにこれだけか、という落胆が勝り、10−12月は全てのことにやる気がなくなりました。

もちろん上司との面談では「これだけしか上がらないのかと思った」と伝えましたが、それに対する上司の答えは

・会社の業績が悪かった(いや、これに責任を持っているのはあなたであり、人事みたいに業績悪いから仕方ないじゃんって言うなって思ったよ)

・14ヶ月払いじゃなくて12ヶ月払いの会社にいきなよ(いや、何の問題解決にもなってませんけど、総数変わってないじゃんって思ったよ)

でした。

何をどこまでやればいいのか、と言うミッションが不明瞭だったから評価しづらかった部分があるのかも、と思い、それを決めたいと上司と面談をセッティングしたら

「それを決めるのはあなただ」

と言われました。

そして、今自分がやっているチーム運営の業務を外して欲しいと伝えたら

「そこまで忙しくないじゃん」

と言われました。

 

何でこの人はそんな言い方しかできないのか、

そんな人の下ではもうやってられないと思い、

いつ辞めようか、どうやって辞めようかばかり考えていました。

 

さらに悔しいのは、

経営陣は新しいマネタイズを考えるわけでもなく、今の既存サービスのマイクロマネジメントしかしないところにばかり目がいって

新しいサービスを私自身も考えられないところでした。

 

このままここにいたら経営陣と同じように新サービスを生み出せない人になり、

他人に対して不満しかでない人間になってしまうことが怖いと思いました。

 

だからその不安を埋めるべく、必死に本を読むペースを上げることにしました。

 

私は悪戯に給料を上げたいわけじゃなく、自分がやったことの対価として適切な金額をいただきたい、と思います。

 

20代のキャリアはどうしたらいいのか、とか

採用面接はどうしているのか、とか

5年で得た知見を今年はもう少し外に出していこうと思います。

 

 

最後に、

表題の「スタートアップで貴重な人材になったのに給料が上がらない問題について」

その組織で貴重な人材になったのに給料が上がらないのは、

その企業がスタートアップではないから

です。

『江副浩正』と 『起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』を読んで、リクルートの歴史を知る

前回ホットペッパーの話を読んで、改めてリクルートそのものについて知りたいと思ったことから、

江副浩正』と

『起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』を読みました!

 

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mai14.hatenablog.com

 

どちらも江副さんについての本で、そこまで内容に差はないものの、

江副浩正』は江副さんそのものにフォーカスを当てていて、

『起業の天才!』は江副さんの周りにいた人と今にフォーカスを当てているように感じました。

 

少し書き方に違いはあれど、江副さんの作ったリクルートのすごさは3つだと思います。

 

①時代の流れに合わせて事業を創ったこと

少し早すぎたところもありましたが、

リクルート創業時大学に進学する人が徐々に増え、高度経済成長にて民間企業の急成長が合わさって卒業後の就職先の選択肢を提供したり、適性検査を作る

IBMのPCをいち早く導入し理系学生を集める

・「企業への招待」の月刊誌のデザインをオリンピックのポスターを手がけた亀倉さんにお願いし、デザインが経営における重要性を示した

・夢のマイホームが現実的になっていた時に「住宅情報」を出した

などなど

 

②思想を創ったこと

リクルートの経営三原則

┗「社会への貢献」

┗「個人の尊重」

┗「商業的合理性の追求」:仕事の生産性を上げ、仕事のスピードを高め、高収益社会にして税金を納めることがリクルートの誇り

・1968年社訓「自ら機会を創り出し、その機会によって自らを変えよ」

ドラッカーの『現代の経営』、易経の「窮すれば変じ、変ずれば通じ、通ずれば久し」のアレンジ

 

③創業者に依存しない人を創ったこと

江副さんの後、元IBMで創業メンバー位田さん→女性河野さん→若手立て直し柏木さん→峰岸さんへと経営者のバトンが渡されていく背景のエピソードが記されていて、

江副さんイズムは受け継がれているものの、各々の経営スタイルを持たれていたことがわかり、リクルートが経営輩出企業たる所以を垣間見ました。

 

 

また、リクルート事件についても主幹事大和証券がいいって言ったのに何故ここまで問われるのかがわからなかったものの、

江副浩正』文中亀倉さんの

法律上の罪とは別に、道義的なことも罪になる

という言葉で納得しました。

 

江副浩正』には裁判の時の大前研一さんと孫正義さんの上申書が記されていて江副さん擁護な印象を持ち、

『起業の天才!』では江副さんは一つの物事に三つの意味を持たせる人だという記載からやや含みを持たせている印象を持ち、

真意は誰にもわかりませんが、物事の見方は多様だなと思いました。

 

なお、『起業の天才!』は

帯のジェフベソスの上司という話は一瞬しかなかったし、

正直無理やり今のビジネスと結びつけている感があったし、

亀倉さんとのデザイン経営というのは書かれていなかったこともあり、

個人的には『江副浩正』の方が読みやすい本でした。

 

 

『Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方』を読んで、戦略はやらないことを決めることだと改めて知った

Hot Pepperラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方』を読んだのですが、

これは本を読む人の立場や役割によって見方が変わる本だと思います。

この本を読んで、自分が当事者として実行できることがあるのか、

なければ誰かに決められた仕事しかしていないので焦ったほうがいいと思いました。

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リクルートホットペッパーの強さ

「114の生活圏×領域」に分けた「狭域ビジネス」

●仕組み化とマニュアル化

・前にやった人が悩み苦しんで実現した成果を、同じことを苦労せずに成果として実現できる仕組み

・仕組み化は情報を共有するしかけとなる

・同じように簡単に理解し行動できるように汎用化するのが仕組み化だ

・仕組み化はコミュニケーションを活発にして組織のコンセンサスをスムーズに創り出す

・仕組み化は人を育てる

● リーダーとは物語を語る人

・リーダーの役割とは、変革し、パッケージ・パターン化し、汎用化し、構造化し、安定化すること

・「地道にコツコツと日々積み重ねていくこと」を組織文化として根付かせること

(トップ)

・トップ自身がすべてのことを自分で決めてしまっている

・リーダーを育成するとは決めるチカラを付けさせること

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サンロクマルとホットペッパーの違いを考えたとき、

ホットペッパーの強さは新しい区切り方を発明したことであり、

やらないことを決めたことだと思います。

やったほうがいいことは無限にありますが、それを無視してでもやらなければならないことに絞る、絞ったら徹底的にやる、成功するまでやる、ということをされてきたことがわかりました。

 

その時々の課題や状況に合わせて変化することも大事ですが、

私は行き当たりばったり/その日暮らし的な感じがして、それを「戦略」とは呼ばないと思うんです。

 

生きてる以上、課題がなくなることはないですし、何かの課題を解決したら、それは同時にまた新しい課題を生み出しているので、課題のループは消えることはありません。

 

だからこそ、「あるべき姿」である目的を定め、それに対して目標を設定する

という戦略をもとに、課題を設定し、それに対する策を打つということをしていきたいと思いました。

 

『VCの教科書: VCとうまく付き合いたい起業家たちへ』を読んだら、なぜか組織における自身のポジショニングの話になった

『VCの教科書: VCとうまく付き合いたい起業家たちへ』
を読みました!

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後半部分はかなり実践的な話だったので読み切るまで大変だったのですが、前半部分の
時がたつにつれて利益は同じ勝者に集まる

結局は限られた数の者しか競争に参加することが認められないという点で、VC投資は非民主的

 という言葉がすごく印象的でした。

私の仕事においてはここまで極端に勝ち負けは決まらないかもしれませんが、
マーケットにおいて自身のスペシャリティを示すことができた人には、
さらにマーケットにおいて自身のスペシャリティを示す機会がくるなど
社内外のチャンスが回ってくるものなんだと思います。
こつこつやることはもちろん大事ですし、こつこつやれない人にくるチャンスは運でしかないので再現性はないと思いますが、
でも人と同じことをこつこつやってもチャンスは巡ってきづらいと思います。
なぜなら、その人に任せる理由が見当たらないからです。
なので、自分に任せようと思ってもらうための理由作りを自らする必要があると思います。
第一想起してもらうために自分で布石を打つ必要があると思います。
自分で自分のキャラやスタンスを宣言する必要があると思います。
 
私もできればいろんな人に満遍なく仕事を渡したいと思っていますが、
ビジネスである以上練習とかないし、リソースは有限なのでできる限りその仕事を成功できそうな人に渡しがちになります。
「自分のスペシャリティがない」という人は、
その組織で余っているポジションやピースを奪いにいくのがいいと思います。
誰もやりたがらない仕事に手を挙げてみるのがいいと思います。
 
<VCからの投資を受けた企業の世の中へのインパクトMEMO>
・2017年VC企業による会社への投資額が840億ドルを超えたが、
10億ドル以上の価値の企業に資金が集中しているので、個々の投資数は近年減少している。
・2017年アメリカのVC企業は、およそ330億ドルを投資家から集めた。
バイアウトファンド業界は4500億ドルの資金を集めた。
ヘッジファンド業界は3兆ドルを超える額を運用している。
・公開会社の42%はVCの支援を受けており、時価総額合計の63%に相当する。
こうした会社が雇用総数の35%を占め、研究開発費の85%を占める。
アメリカGDP17兆のうち、0.4%を投資する業界としてはなかなか
 
 
VCが気になる方はこちらも読んでみると良いかもしれません

 

mai14.hatenablog.com

 

『叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」』を読んで、できない人への優しい心を持ちたいと思った話

『叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」』
を読みました!

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今何が起こっているのか、数字をもとに、
ひろゆきの考察がいろんなトピックスごとに要約されているので、読みやすい本だと思います。
 
情報を鵜呑みにせず、一次情報を取りにいった方がいいし、
自分の中で判断軸を持った方がいいに決まっている。
 
世の中にはそんな“やった方がいいこと”に溢れていますが、
それを“やらなかった/できなかった”結果、躓いたり失敗すると
”自己責任”で片付けられがちなのは少し気になります。
 
やった方がいいよと言われて”やった人”がちゃんと報われた方がいいけど、
やった方がいいよと言われて“やれなかった人”もいることに目を向けたい。
 
「最後に、本書の内容はライターさんや編集者さんに手伝っていただきながらまとめました」
という文章から、これって本当にひろゆきが書いているのかな、実はひろゆきの言葉じゃないのかも、と思いました。